畑川 養幸さん

2005年度・情報通信ネットワーク研究室卒業

通信技術は素晴らしい可能性を秘めていて、使い方によっては世界中の人々を幸せにすることが可能です。

Q1研究室に在籍中、学んで良かったこと、今のお仕事に役立っていると感じることは何ですか?

研究室在籍中は、無線LANをベースにした低消費電力型ディジタルLSIの設計について学びました。現在の仕事では、通信会社の研究所で、将来の携帯電話などで用いられる新しい通信の仕組みに関する研究開発を行っておりますので、ディジタルLSIの設計とは異なります。しかし、新しい通信の仕組みも製品になる際にはディジタルLSIに実装されるわけですから、研究室在籍中に身につけた知識は、LSI化に適した通信の仕組みを考える上で役に立っています。
また、研究室在籍中は、留学生と交流する機会が多かったことや、国際学術会議へ複数回参加するチャンスに恵まれたことから、語学のスキルアップや異なる文化を持った人と仕事をする上で大切な感覚を養うことができました。現在の仕事では、国際標準化活動にも携わっており、国内外の通信機器メーカーや通信会社、政府機関と仕事をすることがありますが、学生のときに身につけた感覚が、スムーズにコミュニケーションをとる上で大いに役に立っています。

Q2なぜこの専攻や、この研究室を選んだのでしょうか?

正直なところ、高校生のときに大学を選択した際や、学部生のときに研究室を選択する際、立派な動機があって選んだわけではなく、「北海道に住んでみたい」や「離れた人とコミュニケーションができる通信は面白そう」というものでした。しかし、今になって思うと通信技術は素晴らしい可能性を秘めていて、使い方によっては世界中の人々を幸せにすることが可能です。例えば、世界中でブロードバンドが整備され、インターネットへのアクセスが可能になり、開発途上国の人が経済力のある先進国の人に対してネット通販で簡単に物を販売できれば、経済格差の解消に貢献できるでしょう。また、テレワークや遠隔授業が実現できれば、大都市で深刻な人の移動に伴う混雑(満員電車や交通渋滞)が軽減され、二酸化炭素排出の抑制が可能ですし、地域格差の解消にも貢献できます。このように通信技術の発達が社会問題を解決し、多くの人々を幸せにする可能性を秘めていることは、今仕事をする上での私のモチベーションになっていますし、専攻・研究室の選択も正しかったと思います。

Q3今後の目標・後輩へのメッセージ

まずは、将来どんな自分になりたいかイメージしてみましょう。具体的な職業は思い浮かばなくても構いません。困っている人を助ける仕事、世界中を飛び回る仕事、便利なものを作って世の中を驚かせる仕事など、漠然としたもので良いと思います。そういうものが思い浮かんだら、少しでも近づけるように自分なりに何をしたら良いかを考えて実行してみてください。例えば、世界中を飛び回る仕事をしたいから、受験勉強で英語を他の科目より頑張ってみるというような身近なことでも良いと思います。自分で考えて実行したことから得られるものは大きなものですし、うまく行かなくても、そこで得た経験や知識は、必ず別のところで役に立ちます。このようなことを繰り返していると、より具体的な目標が見えてきますし、なりたい自分へも知らないうちに近づいています。