川口雄揮さん

川口雄揮さん

2010年度・情報通信フォトニクス研究室卒業

住友電気工業株式会社 光通信研究所

Q1研究室に在籍中、学んで良かったこと、今のお仕事に役立っていると感じることは何ですか?

私は現在、光ファイバの研究開発に携わっています。研究室に在籍中は光導波路の理論、設計を行っており、光の基本的な特性に関する基本的な知識は直接今の仕事に役立っています。しかし、実際にものづくりをしていくうえでは、それだけでは不十分で、物理・数学・化学・統計等、幅広い知識も必要とされます。私は在学中にそれらをすべて習得することはできませんでしたが、講義の資料や教科書では、これらが網羅されていました。今でも過去の資料を見返しながら仕事をすることが多々あり、財産となっています。また、在籍中は学会や学術論文の発表を通じて、世界の研究者と議論をする機会を多くいただきました。こうした場は、単に自らの成果を発信するだけではなく、様々な視点からの意見・考え方を吸収でき、新たなアイデアが生み出される場でもあります。学生の時代にこのような経験をさせていただいたのは、有意義なものであったと思います。
どのような分野においても、研究開発は世界を相手に闘わなければなりません。その激しい競争の中で勝ち抜いていくためには、現状の技術からの大きな変化、「革新」が必須です。「革新」には新たなアイデアが必要となりますが、それには、狭い専門知識だけではなく、幅広い知識に裏付けられた根拠が不可欠であると考えています。大学では、その基礎となる教育が充実しており、今後の研究生活に役立ってくるものと思います。

Q2なぜこの専攻や、この研究室を選んだのでしょうか?

私が中学生・高校生のときに、家庭まで光ファイバが入って高速大容量の通信が可能となり、また、PHSや携帯電話といった携帯情報端末が普及しはじめた時期でもあり、通信というものに漠然と興味を持っていました。学部での講義を受講する中でその思いは一層強くなり、通信についてハード・ソフトの両面から幅広く勉強できるメディアネットワーク専攻を選択しました。なかでも、情報通信フォトニクス研究室では、先生方はもちろんのこと、先輩の学生も、光エレクトロニクスの分野における著名な学術論文誌や国際会議で多数の報告をしていることを知りました。私もそのような最先端の研究を行っている場に身を投じることで成長し、自らの研究成果を世界に向けて発信していきたいと考え、研究室を選択しました。
配属されるまでは右も左もわからない状態で不安ではありましたが、先生方、先輩方には、専門知識や、基本的な考え方をご指導いただき、最終的には研究の楽しさを味わうことができました。修士課程まで研究を行い、まだまだ研究を続けたいとの思いから、博士課程まで進学し、納得できるまで研究をできたのは非常に有意義なものでした。博士課程まで研究を続けた結果、現在の希望通りの研究開発という仕事に携わることができ、自分のキャリア形成に大きく役立ちました。

Q3今後の目標・後輩へのメッセージ

今後は、増加を続ける通信容量を支えるため「世界一」の光ファイバを開発し、社会貢献を果たしたいと考えています。
現在、勉学に励んでおられる学生の皆さんには、ぜひとも研究の楽しさ、難しさを存分に味わっていただきたいと思います。情報科学研究科の先生方は、各分野で著名な方々であり、そのような先生にご指導いただけるのは、非常に貴重な経験です。また、北海道大学では研究に集中できる環境も整っており、大きく成長できる場でもあります。研究は必ずしもうまくいくとは限りませんが、そこで考え抜くという経験は、どんな職種であっても将来に役立つものだと思います。苦労した分、成果が得られた際の喜びも大きく、今後の皆さんの自信にもつながります。北海道大学での勉学を通じて飛躍し、共に将来の情報通信を発展させていきましょう。