研究内容  (2013/10/12更新)

キーワード:
ナノ粒子・ドット,薄膜,単電子伝導,トンネル伝導,磁性,電子デバイス,電子顕微鏡,ペロブスカイト型複酸化物
関連学会:
応用物理学会,応用磁気学会,電子情報通信学会,電気学会,日本金属学会,日本顕微鏡学会,欧州MRS(材料学会),IEEE(米国電気電子学会)

1)シリコンナノドット列を用いた高機能デバイスの開発

電子デバイスのサイズを非常に小さくすると、通常の電流とは異なる、電子1個1個の特徴を生かした省エネ電流を作りだせます。 これが単電子デバイスです。下図のような複雑な形状の単電子デバイスを作製し、省エネでしかも機能可変な論理デバイスの実現を目指しています。 世界的にも例のない、独創的な研究だと自負しています.

Si単電子集積デバイスのSEM写真 ゲート電圧による出力変化の例 1個の単電子デバイスで実現する論理関数

2)磁性ナノドット極薄膜からなる単電子トランジスタ

磁性体デバイスには磁化することにより抵抗値が変化するという現象を示す物があります。これを磁気抵抗(MR)効果といいます。 世の中では、この効果を用いたRAMやハードディスク読み取りヘッドの開発が進んでいます。そのサイズをナノサイズにすることによって 特性の向上を目指すと共に単電子トンネル現象とMR効果の物理学的相関を明らかにしようと努力しています。

磁性ドット単電子デバイスの概念図 磁性ドット単子デバイス 磁性ドット膜の表面構造 磁性ドット膜の磁気抵抗特性

3)ReRAM(抵抗変化メモリ)の開発とそのデバイス応用

ある種の絶縁体はパルス電圧印加により電気抵抗が数桁変化します。高い抵抗の状態を1,低抵抗状態を0と考えれば,それがスイッチになり,メモリーとしての応用が期待されています.抵抗変化の原因として色々言われていますが,世界的にも未だに不明な点が多い現象です。 試料作製方法開発,電機特性評価による研究を通じてこれを明らかにしたいと考えています。またこの現象を用いて、将来の高性能な Random Access Memory (ReRAM) の実現を目指します。

テストデバイス テストデバイス概念図 ReRAM特性(高抵抗-低抵抗のスイッチ) ReRAM特性(高抵抗-低抵抗のスイッチ)

4)ReRAMスイッチのその場TEM観察による動作機構解明

ReRAMの動作原理については,いくつかの種類があると考えられています.その一つにフィラメントモデルを呼ばれる物があります.電圧をかけることによって,酸素イオンまたは銅などの金属イオンが移動し,細いフィラメントとして析出すると信じられています.このフィラメントが電極間をつなぐと電気抵抗が小さくなるというわけです.しかし,その事を実験的に明確にした報告例はありません.我々がこれまでに培ってきた技術を使用して,ReRAM中のフィラメント形成過程をリアルタイムに観察し,その物理・化学を解明しようとしています.透過電子顕微鏡(TEM)の中の試料に電圧を加えてスイッチさせ,その過程をナノレベルで評価します.いわゆる,「その場TEM観察」と呼ばれる手法です.

開発したTEM試料ホルダー 作成試料の例 フィラメント形成過程の観察例 スイッチ領域の投入パワー依存性

5)エレクトロマイグレーションによるナノ構造作製とデバイス応用

エレクトロマイグレーション(EM)とは,電流によって熱的に励起された原子が電流中の電子に衝突されて移動する現象のことです.この現象はLSIの配線などを断線してしまう原因となることから,「如何にしてこれを抑制するか」についての研究がなされています.その一方で,断線過程を上手くコントロールして微細な電極を作ろうという研究も進んでいます.我々は,このナノギャップ作製を安定かつ再現性良く行うために,TEMを用いて断線過程の観察・解析を行っています.得られた情報をもとに,数nm(ナノメートル)級の間隙を持つナノデバイスの作製を目指します.

電気抵抗測定用TEMホルダー TEM内電気測定システムの概略 EMによるナノ細線中のボイド(穴)形成 作成したナノギャップの例

6)磁性薄膜の磁化と電気伝導特性の直接観察

TEMを用いると磁気的なしわを見ることができます(ローレンツTEM法,LTEM)。このしわの分布が変化すると抵抗値が変わります。これがMR効果です。 この変化の仕方は、磁性デバイスの形状や物質によって異なります。ここでは磁気分布の領域(磁区)と電気抵抗を同時に計測して、 デバイスの設計指針を得ようとしています.そのため,磁場を発生できる微小電磁石を搭載した特殊なTEM試料ホルダーを作製しています.

電磁石搭載型LTEM試料ホルダー Ni-Feのローレンツ像 磁場増加による磁区の変化(Ni-Fe) TEM内MR結果の例