基地局側、端末側の双方に数十台から数百台のアンテナを搭載したMIMO (Multiple-Input Multiple-Output) システムは、Massive MIMO (大規模MIMO) と呼ばれ、その高い通信性能から注目を浴びています。
しかしMassive MIMOでは、アンテナ本数の増加に伴い、受け取った信号から元の信号を復元する信号検出処理における計算量が増加し、最適なアルゴリズムであるML (Maximum Likelihood) 法を単純に適用した場合、その計算量は現実的では無くなることが知られています。
近年においては、確率・統計的手法を用いてMassive MIMOの計算量を低減させる研究が盛んに行われており、当研究室でもいくつかの方法について研究を行っています。
その中の1つであるMCMC (マルコフ連鎖モンテカルロ) 法を用いた信号検出アルゴリズムは、検出すべき信号をその確率分布のサンプリング値から推定することで、指数関数的な検出時間を線形・多項式的に高速化することを可能としています。
MCMCを用いた信号推定
[文献]
松村, 萩原, 西村, 大鐘, 小川, 佐藤, "Massive MIMOにおけるマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた信号検出に関する研究," 信学技報, vol. 120, no. 74, RCS2020-38, pp. 91-95, 2020年6月.