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ネットジャーナル1

21世紀のキーテクノロジーとして

――単電子トランジスタの実現は、現在の情報技術に強いインパクトを与えるものだと思うのですが、実用化の可能性についてはどのように考えられているのでしょうか。

写真:博士(工学)福井 孝志 3

福井 現在使われているパソコンのCPUには1億個以上のトランジスタが集積されており、これを今すぐ単電子トランジスタに置き換えるというのは容易なことではありません。近年は、集積化に適したシリコン単電子トランジスタやカーボンナノチューブを素材とした単電子トランジスタの開発なども行われていますが、これらも今すぐ実用化に結びつくものではなく、今後の研究開発の進展が待たれています。

しかし、これらの研究の重要性はこれまで予測でしかなかったものを現実につくり出し、理論を実証することにあります。単電子トランジスタの実現は、トランジスタの動作に関わる電子を極限まで減らしていったとき、実際にどんな現象が起こるのかを探査しておくテストデバイスとしての役割を担っています。文部科学省でも情報処理・通信分野におけるナノデバイス・材料・システムの研究開発を重点目標に掲げ、この分野に大規模な研究予算を投じています。将来を見据えた萌芽的な研究として高く評価されているのです。

――北大は、ナノテクノロジー分野ではすでに先端的な研究体制を築き、量子集積エレクトロニクス研究センター、ナノテクノロジー研究センター、触媒化学研究センターなどさまざまな施設が研究に取り組んでいます。その中で、情報科学研究科におけるナノテクノロジーはどのような展開を見せるのでしょうか。

福井 ナノテクノロジーの応用分野は幅広く、IT、バイオ・医療、環境・エネルギーなど多岐にわたります。情報科学研究科としてはITのハードウェアを担うという意味でのナノテクノロジーを指向していますが、総合大学としての強みを活かし、幅広い分野の研究者が有機的に連携することで、まったく新しい理論や技術が生まれる可能性もあります。ナノテクノロジーが21世紀のキーテクノロジーになることは間違いなく、現代社会が抱える諸問題を飛躍的に改善するようなブレイクスルーを起こすことが、私たち研究者の使命であると考えています。

(2005/12/22)

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