HOME > 研究活動・産学官連携 > ネットジャーナル > ネットジャーナル3

ネットジャーナル3

IBの特徴的なところは、データベースに蓄積されたデータをインタラクティブに可視化できる機能を持つことです。たとえば、ユネスコのサイトにある世界遺産の地図と、別のサイトから切り取ってきた各国の国民一人当たりのGDPの数値を合成し、3次元画像として描画することができます(図2)。また、Web上に公開されている複数のデータベースや関連情報サイトから、必要な情報を切り取り、その場でシステムを構築して可視化することも可能です。目で見たり、手で直接触れることのできない物理現象を仮想環境の中でインタラクティブにシミュレーションすることができるのです。こうした技術は、バイオインフォマティクス分野での活用が期待されています。さらに、合成パッド・合成ボックスをWeb上にプールし、インターネットを通じて自由に交換・売買できる「ピアッツァ」(解説2)も構築しています。


(図2)インテリジェント・ボックスによる3次元表現
ユネスコのホームページに公開されている世界遺産に関する情報と、ローカルのデータベースにある国民一人当たりのGDPの数値を組み合わせ、一つのテーブル上で合成・可視化している。

知識と機能を自在に連携させるフェデレーションアーキテクチャの開発

――IPやIBはすでに技術として確立されていますが、今後の展開としてはどのようなことが考えられますか。

田中 当初、IPやIBはミームメディアとして活用することを目的としていました。しかし、ユビキタス時代が目前となった現在、単なる再編集・再流通よりもっと高い次元での知識の「フェデレーション(連合体)」が求められるようになっています。フェデレーションとは、いま目の前にあるものをその場で組み合わせ、すぐに使えるようにすることです。情報だけでなく、遍在する情報機器のネットワーク構成が動的に変化するのです。IPやIBのアーキテクチャはこうしたニーズにも十分応えられます。例えば、私たちが開発したシステムでは、ユーザーがワイヤレスのLANカードを装着したパソコンを持って入室すると、室内のシステムが入室した人物を認識します。入室者がパソコンからピアッツァにアクセスすると、その場で利用可能なサービスが登録されているWebページに自動的に飛ぶようになっており、Webページの中からスライドショーのプロキシをコピーして開くとスライドショープレゼンテーションのサービスをパッドとして受け取ることができます。ユーザーはパッドにパソコンのデータをドラッグ&ドロップするだけでスライドショープレゼンテーションができるようになっているのです。

――通常は、自分のパソコンを持ち込んでも会場に設置されているシステムとのコネクションが適合しなければ利用できませんが、IPを使えばその場でコネクションフリーの状況をつくり出せるのですね。

田中 私たちは、パソコン以外にもPDAや携帯電話、組込み型コンピュータ、サーバなどさまざまな情報機器を使っています。今後はスマートチップやスマートダストと呼ばれるような、センサー・処理機能・通信機能が一体化した超微小コンピュータも普及するでしょう。コンピュータが微小化されれば壁や床、机、書類などあらゆるものに埋め込んでネットワークを構築することができます。私は現在「21世紀COEプログラム」の「知識メディアを基盤とする次世代ITの研究」という拠点のリーダーを務めていますが、ここでは知識メディア、量子集積エレクトロニクス、知的通信の3分野が連携し、超微小コンピュータも含めたユビキタス知識環境の実現とフェデレーションを即時に形成するソフトウェア技術の研究開発を進めています。

ページの先頭へ