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ネットジャーナル4

工業・農業・サービス業など多彩な分野への展開

――産業応用への展開は、現在どのように進められているのですか。

金子 企業との共同研究は多数行っています。対象物の種類や用途・目的などによってさまざまな手法が必要であり、その中のいくつかを並行して研究しています。基本的には学生とともに研究室独自に開発した手法を評価していただき、共同開発のオファーを受けています。応用分野もじつに多彩で、車載カメラによる車両周辺監視システム、農業用トラクタの速度計測、セキュリティやアメニティの調査・分析、ダニの計測までじつにさまざまです。

その中のひとつが、方向符号照合(OCM:Orientation Code Matching)と呼ばれる手法です。これは、対象物が移動する過程で明度や方向が変化しても、対象物を正しく追跡できるものです。たとえば(図2)では、移動している対象物が照明の当たらない箇所を通過したり向きを変えたりしても、誤認することなく追跡することができます。OCMは、東芝が開発している車載用画像処理LSIVisconti TM(※トレードマーク)を用いた車両周辺監視システムに採用されています。(解説2

(図2)OCM

(図2)SSD

もうひとつご紹介したいのが、M-ICPと呼ばれるもので、これは3次元画像データを照合しマッチングさせる技術です。(図3)は、コーヒーメーカーを3次元センサで計測したデータを2つ用意し、それぞれの形を認識して重ね合わせようとしているものですが、じつは2つのデータにはいくつかの違いがあります。従来使われているマッチング技術(ICP)では対象物の相違点をきちんと把握することができず、完全に重ね合わせることができないのですが、私たちが開発したM-ICPではM推定というアルゴリズムを利用して2つを完全に重ね合わせることができます。2つの画像の違いを認識し、さらにその差異部分をコンピュータ自身が推測して補うというものです。これは工業製品の品質検査などへの展開が考えられ、プレス加工したものを3次元センサで計測し、見本のデータと照合して傷や不良箇所がないかをチェックすることができるようなシステムに応用できると期待されています。

(図3)M-Icp

(図3)Icp

こうしたシステムは画像照合技術だけで実現するものではなく、人や物を識別するカメラやセンサの技術、ロボットを動かす技術など、他の領域と協力して開発しなくてはなりません。その点、本研究室はロボティクス・メカトロニクス、ヒューマンセンシングなどの研究室が一体となった研究体制を整えており、お互いの得意分野を融合した研究を進めることができます。これも、本研究室の優位性のひとつであると思っています。

金子教授

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