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ネットジャーナル7

「はやり目」の新型ウイルスの発見と分類

――具体的にどのような研究成果がありますか。

小柳 最近のトピックスとしては、医学部と共同で行ったアデノウイルスの研究があげられます。アデノウイルスは肺炎や結膜炎など感染症の原因となるウイルスで、中でも暑い時期に流行する「はやり目(流行性角結膜炎)」を引き起こすタイプは感染力が強いのが特徴です。本研究で、日本で発見された新種のアデノウイルスと既存のアデノウイルスの全ゲノム塩基配列を比較したところ、新種では他のアデノウイルスと遺伝子組換えを多数行っていることが分かり(図1)、組換えの回数や場所が感染力の強さに関連があるのではないかと考え、より詳細な研究を進めています。

アデノウイルスの遺伝子組み換え
(図1)アデノウイルスの遺伝子組み換え
新型アデノウィルスのゲノム進化過程。他の型との間で組換えが起きたと考えられるゲノム領域を色づけして示した。円は他の型との組換えイベントを表す。

多様な専門分野へアクセスできる環境で次なるステップへ

――今後はどのような研究テーマが考えらますか。

小柳 例えば先ほどのアデノウイルスでいえば、全国の研究機関から年代別のサンプルを提供していただいて、1980年頃から現在までの遺伝子の変化を追跡するという研究を進めています。さらに海外のサンプルとの比較を行い、地域による違いなども解析してみたいと思っています。こういった研究を通じて、日本における強い感染力や発症の原因となるゲノム領域を特定できればと思っています。これはアデノウィルスの例ですが、このようにして、進化の観点からゲノムと表現型の関連を理解していきたいと思っています。

研究室ではヒトやイネのゲノム研究や深海底の新種探索プロジェクト(解説2/写真1)など、研究の分野も内容もバラエティ豊かです。様々な生物や生命現象を研究できるのがゲノム研究の魅力の一つだと思います。ゲノム研究は研究対象が多種多様ですが、情報科学研究科は工学のみでなく理学や農学などさまざまなバックグラウンドを持った先生方が集まっていますし、画像分析や統計処理などコンピュータを駆使した解析・分析手法も利用しやすいので、膨大なデータを扱う研究には最適な環境といえるでしょう。10年前にはできなかった研究が、今では技術的にも知見的にも実現可能になっています。

小柳 香奈子准教授

(2012/01/31)

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