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ネットジャーナル9

レアアースの代替材料から生まれた新しいコンセプトのモータ

――ハイブリッド自動車用フェライト磁石モータとはどういう仕組みですか。

竹本 真紹准教授

竹本 当初は、従来のネオジム磁石を使ったモータを上手く発展させることで、フェライト磁石でも十分な出力を得られるのではないかと考えました。しかし、解析を進めた結果、ネオジム磁石とフェライト磁石の特性が大きく異なることがわかりました。ネオジム磁石をフェライト磁石に置き換えるだけでは不十分で、モータの形状そのものから考え直す必要があったのです。

フェライト磁石に特化したモータ形状のコンセプト(解説3/図1)は比較的早い時期に見えてきたのですが、本当に大変なのは設計に落とし込んでいく作業です。自動車用モータというのは要求される性能がハイレベルなので、細かい部分まで綿密に詰めていかなければなりません。そして,高性能に加えて、製造や工業製品化にも耐えうる設計をいかにクリアするか、シミュレーションと解析を繰り返しながら細部を最適化していきました。

2010年9月にNEDOと共同で発表した「レアアースを使わない新構造の50kwハイブリッド自動車用フェライト磁石モータ」(写真1)の開発は、これまでの研究開発の成果としてまとめられたものです。従来のレアアースを使用するハイブリッド自動車用ネオジム磁石モータに匹敵する50kwを発生できるモータに仕上がりました。近年激しさを増す次世代自動車開発において、わが国の競争力を高めることが期待されています。


――フェライト磁石モータが実用化されることでどのような変化が起きるのでしょうか。

竹本 フェライト磁石を使って工業製品化しやすいものが提案できたことは大きな成果だと思います。しかし、実はレアアースは今後も必要とされる材料なのです。レアアースを使ったネオジム磁石モータは非常に性能が高く、設計や製造技術も高度に発達しています。そのため、私たちの研究室には、レアアースを使ったネオジム磁石モータの高度化・高性能化の研究をしている学生もいます。私たちが目指しているのは、単純な「脱レアアース」ではなく、レアアースを今後も有効に使い続けるための代替手段の開発なのです。例えば、高性能が要求される高級車にはレアアースを使い、安価な小型車には代替材料を使うなど、選択の幅を広げることが重要だと考えています。

モータ1   モータ2
(写真1)レアアースを使わない新構造の50kwハイブリッド自動車用フェライト磁石モータ

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