HOME > 研究活動・産学官連携 > ネットジャーナル > ネットジャーナル13

ネットジャーナル13

コヒーレントX線が解明する未知の領域
最先端施設を活用し画期的な研究に取り組む

写真:博士(理学) 西野 吉則

情報科学研究科 生命人間情報科学専攻・教授
博士(理学) 西野 吉則

プロフィール

1991年、東京理科大学理学部物理学科卒業。1996年、大阪大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程後期修了。博士(理学)。高輝度光科学研究センター、ドイツ電子シンクロトロン研究所 ハンブルク放射光研究所、理化学研究所 播磨研究所 放射光科学総合研究センターを経て、2010年から北海道大学電子科学研究所教授に着任。専門は放射光・自由電子レーザーなどのコヒーレントX線を用いた新しい計測技術の開発及び生物学などへの応用研究。

ナノメートルの領域を詳細に映し出す新しい顕微鏡

――コヒーレントX線とはどのようなものですか。

西野 コヒーレントというのは、物事がばらばらに起こるのではなく、結びつきをもって調和している状態のことです。コヒーレントな光の典型例はレーザーです。レーザーでは、波(電磁波)の位相(山や谷の位置)がきれいにそろって調和しています。X線も光の一種ですが、コヒーレントなX線を発生させるのは非常に難しく、世界で初めてX線レーザーを発生させることに成功したのは2009年のことです。

X線は0.1ナノメートル程の波長を持ち、普通の光学顕微鏡では見ることができない200ナノメートル以下の構造も観察できます。また、X線は透過性に優れているため、電子顕微鏡では難しい厚い試料の内部の観察にも適しています。ところが、X線は透過性が高すぎて、細胞などのマイクロメートルサイズの試料はほとんど素通りしてしまいます。

この領域の可視化を実現する画期的な技術として期待されているのがコヒーレントX線です。コヒーレントX線を利用した顕微鏡はマイクロメートルを超える細胞や結晶化できない試料の内部構造を高分解能で観察することができ、これまで見えなかった世界に光をともす技術として世界的な注目を集めています。(解説1

ページの先頭へ