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ネットジャーナル13

染色体に関する定説をくつがえす新事実の発見

――コヒーレントX線はどのように使われているのですか。

西野 まず、コヒーレントX線を作るには大型の施設が必要で、兵庫県にある大型放射光施設SPring-8(http://www.spring8.or.jp/ja/)やX線自由電子レーザー施設SACLA(http://xfel.riken.jp/)などを使って実験を行っています。これらは、コヒーレントX線を使うことができる、世界でも数少ない最先端の研究施設です。

2012年に私たちが発表した染色体に関する研究成果では、これまで定説とされていたことが覆されるほどの大きな発見がありました。従来、染色体はDNAが規則正しいらせん状の階層構造を形成すると考えられており、分子細胞生物学の教科書にもそう書かれています。しかし、今回SPring-8を用いた実験で染色体の内部構造を詳しく解析することができ、じつは染色体はかなり「いい加減な」状態で収納されていることがわかりました(解説2)。

また、X線自由電子レーザー(XFEL)を用いた、複雑系生体分子の構造可視化法の構築を目指した研究では、XFELがフェムト秒(1フェムト秒は1000兆分の1秒)の発光時間を持ち、さらにコヒーレントであることを活用したパルス状コヒーレントX線溶液散乱法の研究に取り組んでいます。XFELの発光時間であるフェムト秒は、溶液中で分子が動くよりも短い時間スケールです。XFELの超高速フラッシュで試料を照らすことにより、これまでは反応前と反応後しか観察できなかったものも、反応中の様子のスナップ写真を撮影することができるようになります。(解説3

私たちの研究室ではさらに、X線レーザーを使いやすいように加工する光学素子や、測定装置・デバイスなどの開発も行っています。イメージング(可視化)するための試料、光学素子、デバイスなどの開発には、ナノメールレベルの加工・観察が不可欠で、北海道大学のオープンファシリティ(解説4)を利用しています。

西野 吉則教授

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