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ネットジャーナル13

さまざまな分野で謎の解明に活躍するコヒーレントX線

――コヒーレントX線は今後どのような分野で利用が期待されていますか。

西野 吉則教授

西野 自然界にある無数の原子・分子は、同種のものであれば、どれも同じ構造を持っています。例えば、遺伝情報を担うDNAは、誰のものであっても同じ分子構造を持っています。このように同じ分子の部品を使うことにより、遺伝情報が世代を超え忠実に受け継がれるのです。これに対して、マイクロメートルよりも大きなもの、例えば細胞には一つ一つ個性があり、これが自然の多様性を生んでいます。個性のない原子・分子が組み合わさることにより、どのようにして個性が生まれるのか、その謎を解く鍵を握っているのがコヒーレントX線だと考えています。

今までは、電子顕微鏡を使ってもX線顕微鏡を使っても、生きている状態の生物試料を高分解能で観察することはできませんでした。しかし、前述のパルス状コヒーレントX線溶液散乱法を使うと生きている生物試料の像をとらえることが可能になります(X線を当てると試料は破壊されるが、その直前の状態をとらえることができる)。細胞の内部構造を、丸ごと、結晶化させずに観察することができれば、生物学の研究に新しい発見をもたらすことになるでしょう。さらに、エネルギー問題や環境問題、地球や宇宙の謎を解明するなど、さまざまな分野に貢献できると期待しています。

本研究室では、学内外の多くの研究者と専門分野を超えてコラボレーションし、世界に誇れる先端的な施設を最大限に活用しながら、こうした新しい領域に挑んでいきたいと考えています。コヒーレントX線はまだ生まれたばかりの研究分野ですので、若い研究者の皆さんにもぜひ取り組んでほしいと思います。

(2012/09/04)

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