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ネットジャーナル15

If-thenルールなしの意思決定を可能にする制御則

――具体的な例はありますか。

山下 車両ロボットの障害物回避を実例に説明しましょう。自動車の自動運転システムを設計する場合、If-thenルールベースの制御理論では、想定できるすべてのIfに対してそれに対応する命令を設定しなければなりません。現代の自動車業界では、対象をすべてコンピュータでシミュレーションし、それに対して既存の制御則を当てはめたりつなぎ合わせたりするのが一般的です。近年は、シミュレーション技術の発達により検証にかかる工程が短縮され、開発スピードが格段に向上していますが、膨大なシミュレーションを行うにはやはり多くの時間と労力を要します。それに対し、私たちのアプローチ方法は、前段階である制御則そのものを刷新する理論の構築を目指しています。

車両ロボットの研究では、障害物をどう避けるかという問題に対し、従来のIf-thenのようにその時々で行動を変えるのではなく、「(制御)リアプノフ関数(解説1/図1)の値を下げるように動く」というただひとつのルールを与えました。実験では、前後の障害物を切り返しで避けながら自律的にゴールに到達することに成功しています。

また、群ロボットの自律分散フォーメーション制御の研究でもリアプノフ関数をベースしています。個々のロボットごとにリアプノフ関数を設定し、近隣のロボットとの相対情報のみに基づき、衝突を回避するようなフォーメーションを達成します。(図2

障害物に近づいたときにどう避けるかという問題は、意思決定問題でもあります。制御理論に意思決定問題を取り込み、If-thenルールではなく関数の形で表現する点に、私たちの研究の特異性があるといえるでしょう。

写真:博士(工学)博士(工学)山下 裕 教授

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