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ネットジャーナル17

見えないところからやさしく見守る妖精ITの時代へ

――なぜセンサーを採用したのでしょうか。

博士(工学)工藤 峰一 教授

工藤 「わずらわしいことは避けたい」という思いがあったからです。独居老人の「見守り」などにITを活用する試みはいろいろありますが、デジタル機器に不慣れなお年寄りに特殊な装置を携帯・装着させたり、操作やルールを覚えさせるのは相当な負担です。ソフト認証なら、普段の生活そのままの状態でADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)を記録し、家族や介護サービス会社へ情報を送るといったことが可能になります。室内でのつまずきや転倒を検知すれば事故を未然に防ぐこともできると考え、転倒検出の研究なども進めています。

スマートフォンがユーザと会話し、ロボットが掃除をする現代、あらゆるものにコンピュータが搭載され日々進化し続けています。これからの時代は、コンピュータが生活の場には見えない状態になるでしょう。いちいちパスワードを入力したり、機器を操作する必要がなく、コンピュータの存在すら意識せずに情報やサービスを受けられるようになるのが、これからの情報社会のあり方ではないでしょうか。そんなイメージを表すものとして「妖精IT」(解説3)という概念を提案しています。

妖精ITは、「普段は隠れていて見えないが、常に見守っていて、必要があれば助けてくれる」というのがコンセプト。コンピュータサイエンスでは、高度な情報処理技術を極めるだけでなく、いかに私たちの生活に役立つ道具としてコンピュータを活用できるかを追求することも目的としています。それも、人間が機械に依存するのではなく、技術の方が我々の生活に歩み寄ってくることが理想です。コンピュータもセンサーも視界から消え去って、自然と一体化するようなIT環境を作り出す。それが、今の私のテーマです。

(2013/01/11)

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