HOME > 研究活動・産学官連携 > ネットジャーナル > ネットジャーナル19

ネットジャーナル19

キラルな分子を同時に観測。謎の解明の手がかりに

――キラリティー磁気共鳴分子イメージングとはどのようなものですか。

博士(工学) 平田 拓 教授

平田 薬などを合成しようとするとき、つながっている原子は同じでも立体的に見ると鏡に映したように反転している分子が同時にできることがあります。これをキラルな分子(解説3)と呼び、この特徴をキラリティーと言います。見た目はそっくりですが、片方は薬としての効き目があっても、もう片方は効き目がないなど特性に違いがあるので、この2つの分子を体内で見分け、ふるまいの違いを観察することは創薬や医療の分野で重要な課題となっています。

キラリティー磁気共鳴分子イメージングは、世界最速のイメージング技術と電子に目印をつけ分子を区別する技術を融合させ、キラルな分子双方を「同時に」に観察できる非常に画期的な技術になると期待しています。実際に、試験管の中にあるキラルな分子を高速で観察し、分布の違いを測定することに成功しています。

体内に薬として効く分子と効かない分子が同時に存在する場合、それを同時に見分ける方法として有効なものはほとんどありませんでした。効く・効かないの区別はできても、互いに影響し合っているのか、あるいは片方だけ存在する場合と両方存在する場合で効き目に違いがあるのかといったこともよく分かっていません。キラルな分子のふるまいを同時に観察できるということは、そうした謎を解き明かす手がかりになると考えられます。

また、薬の中には短時間で消えてしまうものもあり、数秒間というわずかな時間で測定できるイメージング技術は、薬が消えていくプロセスを解明することにも役立つでしょう。

ページの先頭へ