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ネットジャーナル20

音声メディアの使い方を大きく変える超指向性スピーカ

――超指向性スピーカとはどのようなものですか。

博士(工学) 山本 強 教授

山本 超指向性スピーカは超音波の直進性を利用して、狭い範囲にのみ音情報を伝えることができるスピーカです。以前から注目されている技術で、博物館・美術館の音声ナビゲーションなどで実用化されているものもあります。私たちは、超音波パラメトリックスピーカとSSB方式を応用したマルチビーム合成技術を組み合わせ、さらなる指向性の向上を目指しています(解説2)。

パラメトリックスピーカは超音波を使います。超音波自体は人間の耳には聞こえませんが、超音波の伝えるエネルギーが空気中で可聴音に変換され、音声を聞くことができます(図A)。通常、私たちは音源(=スピーカ)のある場所から音が伝わってくると認識しますが、パラメトリックスピーカの場合は、音源が離れたところにあっても耳元で音が鳴っているように感じます。

もうひとつのコア技術であるマルチビーム合成法は、30年ほど前に研究されていた超音波映像技術の原理を利用しています。メインローブ幅の広いビームと狭いビームを合成し、結果的に指向性の強い狭ビームをつくり出す技術です。一般的なパラメトリックスピーカでは、狭ビームを発信するには多数の超音波振動子を密に敷き詰める必要がありましたが、マルチビーム合成を利用することで従来手法よりも少ない振動子で効率的に狭ビームを生成することができます。本研究では、スピーカの開口部の幅、波長、振動子アレイの列幅の構成を工夫することで、振動子を密に配置することなく狭ビームを形成することに成功しました(図B)。

音をスポッティングし、一人ひとりに違う情報を届けることができれば、音のメディアの使い方がガラッと変わるのではないでしょうか。例えば、特定の場所に近づいたときだけ聞こえるアナウンスや、ポスターやショーウインドウの前を通るときだけ聞こえる音楽・メッセージなど、公共機関や街頭広告での利用が効果的だと思います。

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