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ネットジャーナル24

安全性が理論的に証明できる量子暗号鍵配付

――絶対解けない暗号とはどのようなものですか。

博士(工学)富田 章久 教授

富田 従来の暗号技術に代わる新しい暗号として注目されているのが量子暗号です。量子暗号を使えば、原理的には絶対解けない秘匿通信ができることが証明されています。私たちは、量子暗号の中でも特に研究が進んでいる量子暗号鍵配付(Quantum Key Distribution,:QKD)(解説1)を扱っています。QKDは、秘匿通信につかう乱数(鍵)を量子通信によって共有する技術です。鍵の共有は暗号通信で実際にメッセージを送る際に不可欠なプロセスであり、その安全性が理論的に保証されることは非常に大きなインパクトを持ちます。

――どのような仕組みなのでしょうか。

富田 QKDでは、光ファイバの中を通る光子に暗号鍵情報を乗せて伝送します。送信者と受信者は検出した光子情報を用いて暗号鍵を生成します。もし、その途中で盗聴者が情報を抜き取ろうとすると、検出した光子情報に盗聴の痕跡(エラー)が残り、受信者は盗聴されたことを検知することができます、さらにエラー率を計算することで盗聴の強さの上限が得られ、盗聴の情報量を見積もることができます。これにより、盗聴の可能性のある鍵を排除(鍵蒸留)することができ、安全な鍵だけを使用することが可能になります。

また、QKDの安全性は理論的に証明されているのですが、送受信に使われる装置の実装(デバイス特性)の不備などにより盗聴を許してしまう場合があります。しかし、これらについても攻撃を検知し無効化するなどの対応措置を取ることができます。実装の不備にも対応できる装置を標準化すればこれらの問題は解決できると考えられています。

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