HOME > 研究活動・産学官連携 > ネットジャーナル > ネットジャーナル24

ネットジャーナル24

量子暗号鍵ネットワークを理論と実装の両面から研究

――現在、量子暗号技術はどのような段階にあるのですか。

博士(工学)富田 章久 教授

富田 QKDは現在、原理実証の段階をクリアし、実用化を意識した研究が進められています。すでに世界各地で実証実験が行われています。日本でも独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が2010年に行った「東京QKDネットワーク」(解説2)という試験運用プロジェクトがあり、私たちも参画していました。これは世界初の完全秘匿な多地点テレビ会議を敷設済みの光ファイバ網で実現したものです。これをさらに高度化するためのプロジェクトも進行中です。

このプロジェクトでは、量子暗号理論を研究しているグループと量子ネットワークに必要な装置を研究しているグループがあるのですが、本研究室の研究領域はその両方にまたがっており、理論的な部分と実装に関わる部分を同時に研究しています。現実世界では理論通りにいかないことが多く、理論が仮定している装置の特性が実際の装置とズレることが多々あります。しかし、そのズレの原因は何か、条件の違いによってどの程度のズレが生じるのか、ズレが安全性にどう影響を与えるかといった問題はよく分かっていません。そこを一つひとつ実証しながら潰してくのが私たちの役割であり、装置の性能をきちんと確保し、本当に安全な暗号装置を実現するための研究を進めています。地味な作業ですが、新しい技術を実用化するためには不可欠な仕事です。じつは、理論と実装の間をつなぐポジションで量子暗号を研究している機関はほとんどなく、本研究室の存在は重要な位置づけにあると感じています。さらに、理論と現実のズレを追求していくことが、新しい理論の発展につながる場合もあり、そこがまた面白いところでもあると思います。

博士(工学)富田 章久 教授

量子暗号の安全性がある程度実現できたら、次は量子ネットワークの拡充や家庭でも使えるようなものへ展開させる技術の開発に取り組みたいですね。将来的には光を使った量子ネットワークが広く社会に利用されることを目指しています。

(2013/10/10)

ページの先頭へ