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ネットジャーナル25

生物学分野との融合で細胞の新たな知見を得る

――工学的な立場から細胞を研究することにはどのような意義があるのですか。

博士(理学) 岡嶋 孝治 教授

岡嶋 生物学は、現象を観察することから始まりますが、工学は、現象を定量化し、単純なシステムに落とし込み、メカニズムを数理的に解明し、最終的に、人間が作りだした環境下でも同じことができるようにすることを目指します。工学的なアプローチで細胞の性質を調べることで、細胞をその原理から理解できる可能性があります。

力学的な条件は生物の発生にも深く関わっていると考えられます。例えば、幹細胞は、さまざまな細胞へ分化する過程において、遺伝子だけでなく、細胞外の環境にも影響することが分かってきています。

また、 がん細胞においても、がん細胞の浸潤といった細胞運動や、良性から悪性へのがん細胞の変異が、細胞の「力」と密接に関係しているという認識が広まりつつあります。私たちの研究室も、がん細胞の「力」を定量的に明らかにし、力学的ながん細胞診断装置の開発を目指して研究を行っています。

――今後どのような展開が期待さていますか。

岡嶋 がん細胞の研究のように社会に直接貢献するテーマも数多くありますが、私としては細胞の性質をより深く理解する研究を進めることも重要だと感じています。生物全般において、物理的な性質の研究は始まったばかりで、解明されていない点が数多くあります。力学的に見た細胞の仕組みが解明されてくれば、生物学と融合して、生命の神秘に迫る新しい知見が生まれるのではないかと期待しています。

(2013/11/06)

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