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ネットジャーナル29

他分野の研究者へもネットワークを広げ
新しい研究テーマに積極的に取り組む

――現在、どのようなことに興味をもっていますか。

博士(工学)鈴木 恵二 教授

今井 今興味を持っているのは、近似値を使わずに精密な値を求める手法の研究です。じつは、統計的なデータは何らかの仮定が設定されているため、10の100乗や200乗といった量の数を足し算するのが難しく、積分を使って近似値を求める方が使われてきました。近似値の精度を上げる研究も長年続けられています。

しかし、最近は計算に必要な数値だけを抽出して数え上げることができるようになってきました。マルコフチェイン(連鎖)モンテカルロ法(解説2)と呼ばれるもので、理論的には古いものですが、計算機の性能向上によりさまざまな場面で利用できるようになりました。必要な値をすべて数えることができれば、近似値より精密な結果が得られます。情報科学の分野ではこの手法の研究が活発に行われていますが、統計やデータ解析にはあまり使われていないので、興味を持って取り組んでいるところです。サンプル数が少ないデータの解析に有効なので、大量の測定データが入手しにくい分野で役立つのではないかと考えています。

――現在、どのようなことに興味をもっていますか。

今井 冒頭で、データには2種類(定型的・非定型的)あるとお話ししましたが、今後は、非定型的データの活用手法にも取り組んでいきたいと考えています。メールやTwitter、Webのページビューなどは、目的があって収集されているものではなく、勝手にどんどん蓄積されていくデータです。従来の統計手法では、「これが知りたい」という前提がなければうまく活用できないので、日々蓄積されていく膨大なデータから何を掴むのか、まずはそこを探究することが必要だと思います。

また、ネット上を飛び交うデータの解析は、量的なものだけでなく「中身」が重要になってきます。ある時期急激にSNSの投稿が増大したら、そこに何が書かれているのかが問題になってくるでしょう。現在は、出現する単語や人名の頻度は勘定できても、中身にまでは踏み込んでいません。自然言語解析などは私の研究の範疇でないので、それらの分野の研究者と共同研究の機会があればぜひ取り組んでみたいテーマです。

また、ネット上に流れる情報だけでなく、屋内外に設置したセンサや衛星画像などを統合することで、今まで見ることができなかった人間の行動や社会現象などが分かるかもしれません。プライバシーやセキュリティをいかに守るか、ビジネスとしていかに成立させるかなどの課題はありますが、今後研究する価値のある分野だと期待しています。

(2014/03/13)

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