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ネットジャーナル31

遺伝的アルゴリズムを用いた帰納的学習の開発

――赤ちゃんと同じように言葉を覚えるコンピュータとはどのような仕組みなのでしょうか。

博士(工学)荒木 教授

荒木 本研究では、コンピュータにあらかじめ正解をプログラムすることはせず、学習する仕組みだけを与えました。教師役である人間と雑談レベルの対話を繰り返し、その中からルールを獲得していきます。学習する手法には帰納的学習(解説1)を独自に開発し,利用しました。

学習による言語獲得は、①帰納的学習による形態素解析、②帰納的学習によるかな漢字変換、③遺伝的アルゴリズムを用いた帰納的学習による機械翻訳手法、④遺伝的アルゴリズムを用いた帰納的学習による音声対話処理手法の4段階で高度化させていきました。①と②は帰納的学習により8〜9割程度の精度が得られたのですが、③は帰納的学習だけでは不十分だったため、遺伝的アルゴリズム(GA)を導入しました。これを「GA-IL(Inductive Learning with Genetic Algorithms)」と呼んでいます。さらに④では雑談程度の対話例から学習していくシステムとして「GA-ILSD(Spoken Dialogue method using GA-IL)」(解説2)を開発しました。言語処理で遺伝的アルゴリズムを使ったのは世界初の試みです。

GA-ILSDでは、対話を継続させるためにELIZA(解説3)を組み込みました。ELIZAは、応答文の生成ルールが十分に存在しない時、単純な応答で対話を継続させながら対話例を収集していきます。学習が進むにつれ応答文生成ルールが増大し、GA-ILの応答が増えていきます(解説4)。性能評価実験(図1)では、GA-IL応答とELIZA応答の比率(図2)を見るとわかるように100応答あたりでGA-ILの発話が活発になり、1,000応答程度でELIZAとGA-ILの応答率がほぼ同じになることが実証されました。このことは、GA-ILの学習の有効性を示しています。

図:性能評価実験
図1:性能評価実験

図:性能評価実験
図2:GA‐IL応答とELIZA応答の比率

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