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ネットジャーナル32

実用化が望まれる画期的な研究成果

――ヒューマノイドロボットの特長的なところは何ですか。

博士(工学)荒木 教授

近野 ヒューマノイドロボットでは「インパクト動作」をキーワードに研究を行っています。人間の代わりに過酷な作業を行うことが期待されているヒューマノイドロボットですが、その能力はいまだ十分とは言えません。なぜなら、ロボットの発揮できる力は人間と比べて小さいからです。人間の筋肉は非常によくできていて、軽くても大きな力が出せます。しかし、ロボットに人間の筋肉と同じ重さのモーターを装備しても、人間の半分〜10分の1程度の力しか出せません。逆に言えば、人間と同じだけの力をロボットに出させようとすると人間の2倍〜10倍くらいの重さになってしまうのです。

この問題を解決するために考案したのが「インパクト動作」です。ロボットの足、腕、胴などを運動連鎖させ、蓄積・伝達される運動量を力積として作用させます。勢いをつけることで小さなロボットでも瞬時に力を出すことができ、物を動かしたり叩いたりすることができます(解説1)。2005〜2006年に行った愛・地球博,国際ロボット展,こども未来博などの展覧会等でのロボットデモンストレーションでは国内外から高い評価を得ました。

また、複数のヒューマノイドロボットによる協調作業では、一般的な リーダー・フォロワー型の連携ではなく、互いが対等な立場で協調しあう形にしています(解説2)。シミュレーションでは4台の二足歩行ロボットが協調してひとつの重量物を運ぶシステムが実現しています。今後は、実際のロボットを使った本格的な実験を行う予定です。

――無人航空機の研究ではどのような技術開発が行われていますか。

博士(工学)荒木 教授近野 最も特徴的なのは「テールシッター型」と呼ばれる垂直離着陸型航空機を採用している点です。これは、長距離・高速飛行が可能な固定翼機(飛行機)と、空中でホバリングできる回転翼機(ヘリコプター)の長所を併せ持つ形態です。機体の尾翼にカメラを搭載し、目的地までは水平に高速で飛行。目的地上空で機体の向きを変えて垂直でホバリングし、GPSで自分の位置を確認しながら設定した範囲内の地上の様子を撮影します(解説3)。

この技術の優れた点は、機体が垂直になった際の反トルク(機体がプロペラと逆方向に回転すること)の防止に翼のエルロンを使っているところにあります。ヘリコプターなどでは反トルクの相殺に二重反転式ローターを用いますが、私たちの試作機ではエルロンを使うので機体の軽量化が可能となります。

――3つめの脳外科手術シミュレータはどのような内容ですか。

近野 バーチャルリアリティ技術を応用したもので、力覚提示装置(ハプティックデバイス)を用いてコンピュータの中に作られた仮想的な物体に操作すると本物に触っているかのような感触が返ってくるシミュレータの開発を目指した研究です。脳は他の臓器に比べダメージを受けやすく、手術器具で脳をかき分けたり、組織を切断したりする際の力加減が非常に重要とされています。脳外科医がその技術を習得するには、動物の脳やプラスティックの模型などを使ってトレーニングするのですが、リアルな感触を体験することは難しいのが現状です。本研究では、動物の脳を用いて粘弾性パラメータ の同定を行い、コンピュータ内に脳のモデルを構築。脳腫瘍摘出手術などのシミュレーションシステムの開発に取り組んでいます(解説4)。

この技術が実用化されれば、医師のトレーニングのみならず手術計画の立案・検証、遠隔手術・ロボット手術などの実現に貢献できるのではないかと期待しています。

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