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ネットジャーナル34

「やわらかいハードウェア」で高速かつ低電力を実現
情報処理方式を革新する画期的な技術の開発・提案

写真:博士(工学)栗原 正仁 教授

情報科学研究科 情報エレクトロニクス専攻 
集積システム講座 集積アーキテクチャ研究室・教授
博士(工学) 本村 真人

プロフィール

1985年、京都大学理学部卒。1987年、同大学院理学研究科修士課程修了、日本電気株式会社(NEC)に入社。1991年、アメリカ・MIT客員研究員。1996年、博士論文(京都大学・工学)。以後、2011年までNECでシステムLSIの研究開発等に従事。2011年4月、北海道大学大学院情報科学研究科教授に就任。電子情報通信学会(IEICE)等所属。2011年、「動的再構成プロセッサの研究開発とその画像処理機器応用」で電子情報通信学会業績賞を受賞。

ソフトウェアのように柔軟な「やわらかいハードウェア」の開発

――先生の研究テーマである「ソフトウェアとハードウェアの境界領域での研究」とはどのようなものですか。

本村 主にLSI(大規模集積回路)の設計・開発に関するものですが、単に回路設計するだけではなく、ハードウェア上で直接プログラムを実行させる技術の研究開発を行っています。 LSIはコンピュータをはじめ各種デジタル機器の中枢処理エンジンとして広く使われています。モバイル機器や環境に埋め込まれたセンサなど身近にあるフィジカルな世界から、ビッグデータを処理するデータセンターやクラウドコンピューティングといったサイバーの世界まで、LSIは社会の隅々に浸透し、さまざまな分野で活用されています。特に近年は、蓄積・活用されるデータ量が急速に増大し、膨大なデータをいかに高速に処理し、有益に活用するかが大きな課題となっています。また、データ量の増大とともに消費電力も増える一方となり、エネルギー問題と相まって社会問題化しています。これからの社会の発展を支えていくためには、サイバーの世界でもフィジカルの世界でも「高速かつ低電力」の実現が急務なのです。

そのために今後ますます重要になってくるのが「ソフトウェアのハードウェア化」と呼ばれるものです。これが可能になれば、処理速度が速くなるうえ同じ処理を一桁あるいは二桁少ない電力で実行することができるようになります。

――ソフトウェアのハードウェア化というのはどのように行うのですか。

本村 簡単に言うと、汎用ハードウェア(プロセッサ)をソフトウェアに合わせてカスタマイズすることです。従来ソフトウェアで実行していた処理をハードウェア上で行えるよう、LSIに専用回路をあらかじめ作っておくのです。これにより処理時間と消費電力の大幅な削減が可能になります。

しかし、そこにはひとつ問題があります。限られた用途にしか使えないLSIは開発コストが高くなってしまうのです。そこで、ある程度汎用性を持ちながら、ソフトウェア的な処理拡張・書き換えが可能なハードウェア技術が注目されています。カスタム化しつつソフトウェアのように可変できるハードウェアという意味で「やわらかいハードウェア」と呼ばれるものです。

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