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ネットジャーナル40

解説

解説1:「ほぼ中立説」

国立遺伝学研究所の木村資生博士(1924〜1994)は、1960〜1970年代にかけて「分子レベルでの遺伝子の変化は大部分が自然淘汰に対して有利でも不利でもなく(中立的)、突然変異と遺伝的浮動が進化の主因である」とする「中立説」を提唱した。これに対し、太田朋子博士による「ほぼ中立説」では「自然選択の有効性は集団の大きさに影響を受ける」と予測し、非常に弱い効果であるが生物の適応度を下げるような変異(弱有害変異)は、小さい集団では偶然の効果(遺伝的浮動)により集団中に広まることができるが、大きな集団では広まることができないとした。

参考文献:Akashi, Osada, Ohta, 2012, Genetics.

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解説2:キイロショウジョウバエにおける集団内でのcisおよびtrans遺伝子発現変異の定量

図

異なった遺伝子型を持つショウジョウバエを掛け合わせて、遺伝子発現を次世代シークエンサーによって定量する。遺伝子発現の変化の原因となる遺伝的変異は、プロモータ配列の変異の様に直接の効果を持つcis制御変異と、転写因子の作用のように間接的な効果を持つtrans制御変異とに分けることができる。アリル間の遺伝子発現比(ASE)の分散を測定することにより、どれだけの遺伝子発現変異がどのように遺伝的変異によってコントロールされているかを推定できる(首都大学東京進化遺伝学研究室との共同研究)。

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解説3:アフリカミドリザル腎由来Vero細胞のゲノム配列決定

図

Vero細胞はアフリカミドリザル(Chlorocebus sabaeus)腎臓由来の細胞で、世界中で幅広くワクチン産生や細胞毒性の評価などに用いられている。Vero細胞ゲノム解析の結果、免疫や細胞分裂に関わる遺伝子を多く含む染色体上の領域で、9Mbpにわたる欠失とそれを含むさらに大きい領域でのヘテロ接合の喪失(LOH)が観察された。この欠失がVero細胞でのウィルス増殖能力に関わっていると考えられる。横軸は染色体上の位置、縦軸は赤い丸がヘテロ接合度(左のラベル)、青い丸がゲノムのリードカバー率(右のラベル)を示す。9Mbpの欠失を黄色、LOH領域を黒のバーで表す。
図はOsada et al., 2014, DNA Researchより引用(国立感染症研究所、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究)。 http://dnaresearch.oxfordjournals.org/content/21/6/673.abstract

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