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ネットジャーナル44

雑音を足すことで検知が可能になる確率共鳴デバイスの開発

――具体的にはどのようなものがありますか。

博士(工学)葛西 誠也 教授

葛西 情報エレクトロニクスの3つの基本要素は①検出、②伝達、③処理です。これらの要素についてゆらぎと共存協調する生物のやり方に倣った電子システムやデバイスの研究開発を行っています。

まず挙げられるのが確率共鳴です。確率共鳴は自然界にもよくある現象で、雑音によって微弱な信号を検知可能なレベルにまで向上させる能力をもっています。人間を含めさまざまな生物の感覚器や情報処理機能に確率共鳴が関与していると言われています。私たちはこれを電子的に再現し応用する研究を進めています(解説1)。確率共鳴を応用した電子機器の開発はかなり難しかったのですが、私たちは普段よく使われている半導体トランジスタで確率共鳴が起こせることを初めて実験的に示しました。トランジスタはコンピュータやスマートフォンの中に数億個という単位で使われています。身近なデバイスで確率共鳴を起こすことができることがわかり、現象を電子機器で利用する可能性がいっきに広がりました。

身の回りには多くの雑音があるため、雑音を利用するというコンセプトは多くのメーカーが興味を示しています。私たちはそうしたメーカーとの共同研究を行っています(解説2)。また、筋肉を動かすときに発する微弱な電気信号を確率共鳴によって取り出すマン・マシンインタフェースの開発にも取り組み、ロボットアームの動作につなげる研究なども行っています(解説3)。

ただし、現時点では原理を十分には理解できていません。電子機器を設計・実用化するために使いやすい理論的な枠組みをつくることが重要です。今後は原理の解明と設計におけるモデルの構築にも取り組んでいく考えです。

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