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ネットジャーナル45

オールジャパンの技術を結集した新しい超解像顕微鏡の開発

――他にはどのような研究開発が行われているのですか。

博士(工学) 田中 章 准教授

根本 2014年、アメリカの研究者であるエリック・ベッチグ氏らが「超解像顕微鏡(解説3)」の開発によりノーベル化学賞を受賞しましたが、私たちもそれと同じような顕微鏡の開発に取り組んでいます。超解像顕微鏡にもさまざまな方法論があるのですが、私たちは東北大学をはじめとするオールジャパンの研究者たちと共同で、特殊な光を使って空間分解能をあげる研究を行っています。「ベクトルビーム」と呼ばれる新しいレーザー光を用いることで、古典的な光の回折限界を乗り越えることに成功しました。今までは観察不可能だった生きた細胞内の微細構造や生体分子を電子顕微鏡に迫る空間分解能で観察することができ、さらにそれを応用すると2光子顕微鏡の空間解像度も向上させることにもつながります。

特殊なレーザー光を用いると、予想を超える現象を観察できることがあり意外な発見に驚かされます。光の技術を研究することは今まで誰も見たことがないものの観察につながることであり、それがこの研究の面白さであると思います。

――これらの研究は今後どのような分野に活用されるのでしょうか。

根本 まずは私たちの研究の目的でもある神経回路の機能の解明です。学習や記憶という脳の機能がどのような神経の活動によって実現されているのか分かってくるだろうと思います。例えば、私たちは練習をすれば自転車に乗れるようになることを知っています。しかし、脳の神経がどのように機能することで学習や記憶が行われていくのかは明らかにされていません。私たちの研究は、そのような疑問に答えられるようになる大きなブレイクスルーになるのではないかと期待しています。

もっと広い学際領域を見ていくと、この技術は生体の深い部分の細かい構造を観察することができるので、がんや分泌機能の研究など医療分野への応用が考えられます。実際にすい臓や糖尿病、骨粗しょう症など分泌機能の破綻による疾患発症の仕組み解明にも取り組んでいます。そういう点では、社会のニーズに直結した研究分野であり、今後の展開には大きな期待が寄せられています。

(2015/12/11)

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