HOME > 研究活動・産学官連携 > ネットジャーナル > ネットジャーナル46

ネットジャーナル46

社会インフラを担う技術として

――今後、光ファイバの研究はどのように進められていくのですか。

博士(工学)齊藤 晋聖 教授

齊藤 光ファイバの研究開発はどれが正しいという答えが出ていないのが現状です。マルチコア・マルチモードそれぞれ長所や短所があり、使う場所や距離、コスト、拡張性などさまざまな要素が絡み合っています。現在研究が行われているSDM用光ファイバの種類と特徴を比べてみても(解説3)、コアの密度や遅延時間、信号の分離処理、パワー密度などの面でそれぞれにメリット・デメリットがあります。

シングルモードのマルチコアは使うモードがひとつなので、コアにおける処理は今までのシングルモードファイバと同じ伝送の仕方が利用できます。ただし、現実的なクラッド径の中に30個程度のコアを通すのが限界なので大容量化の限界も30倍程度となります。

マルチモードでは、コアがひとつなので従来の光ファイバの製造方法を踏襲することができ、コアに通すモードの数も36個程度まで増やすことができます。しかし、ここでは伝搬の遅延時間やモードの分離のための大規模な信号処理が必要になります。

もうひとつの考え方としてはマルチコアとマルチモードを組み合わせたタイプで、コア数もモード数も極限まで上げず10個程度に抑えたとしても10×10で100倍になります。一見するとこれが一番有効なように思えますが、そこにもさまざまな課題が残っています。

三者三様の特徴を持っているのでどれが最も有効かということは一概には言えず、それぞれの特徴を熟知した上での研究開発が行われています。

また、ファイバそのものの製造プロセスもデリケートなのため、商用として安定的に生産できることが重要ですし、海底ケーブルのように一度敷設すると数十年使い続けるような設備では、10年後20年後を見越したポテンシャルが求められます。将来的には毎秒エクサ(10の18乗)ビットレベルの伝送容量が不可欠になると考えられており、世界各国でトータルなシステムの実現に向けた研究が進められています。今後は、国際競争なども見すえながら産学官協同で進めていくべき研究であり、私たちの研究室でも、社会インフラを担う重要な技術であるという自覚を持ちつつ取り組んでいます。

(2016/1/20)

ページの先頭へ