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ネットジャーナル47

離散と連続が混在するハイブリッドシステム

――ハイブリッドシステムとはどのようなものですか。

博士(工学)小林 孝一 准教授

小林 自動車の仕組みを例にすると分かりやすいのですが、マニュアル車の場合、ギアの1速、2速というのは離散的な値です。1.2速といった中間的な値は取りません。一方、アクセルやブレーキの操作は連続的な値を取ります。自動車というシステムは離散値と連続値の両方を使って制御されているのです。また、製鉄所などでは生産ラインを流れてくる材料の識別は離散的で、加熱炉の燃焼制御や自動板厚制御は連続的です。多くのシステムはこのように離散(オートマトン)と連続(微分方程式)が混在していることが多いのです。

従来は、それぞれ別のシステムとして制御しているのですが、ハイブリッドシステムでは離散値の数式と連続値の数式を融合したひとつのシステムとして扱います。実は、二足歩行のロボットもハイブリッドシステムです。ロボットの足を上げる動作の運動方程式と、両足をついたときの運動方程式などを切り替えることで連続的に動かしているのです。

ハイブリッドシステムの解析や制御の問題は、混合整数計画問題(整数値を取る変数と実数値を取る変数が混じっている問題)に帰着されます。複雑なシステムでは混合整数計画問題を解く計算時間が問題となります。私たちの研究では、混合理論動的システムに組み込める有向グラフの数理モデルを提案し、計算時間を約20分の1に短縮することを実現しました(解説2)。

自動車や機械などの動作を制御するだけでなく、人間の意志決定と行動の同時最適化にもつながるのではないかと思っています。車の運転を想定した場合、ハンドルを右に切るか左に切るかの判断は離散的、実際にハンドルを動かしたりアクセルやブレーキを踏む動作は連続的です。これもハイブリッドシステムの一種であり、人間の行動をモデル化するのに役立つのではないかと考えています。

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