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ネットジャーナル47

需要制御のためのリアルタイムプライシング

――エネルギー管理への応用展開とはどのようなものですか。

博士(工学)齊藤 晋聖 教授

小林 エネルギー管理は現代社会で最も重要な課題です。私たちが取り組んでいるのは、需要と供給のバランスに応じてリアルタイムに電力価格を変動させるシステムの構築です。真夏や真冬など季節的に電力需要が高まり供給量の限界が近づいてきたとき、一時的に電力価格を上げ、通信ネットワークを通じて各家庭や事業所に通達します。それを見た利用者に使用量のセーブを促し電力需要を抑制するという仕組みです(解説3)。国内で実証実験も行われており、エネルギー問題の解決策のひとつになるのではないかと期待されています。

使用量に応じて電力価格をリアルタイムで設定することを「リアルタイムプライシング」と呼びますが、これをすべて自動で行うことも可能です。各家庭や事業所で電力価格の上限を決めておき、それを超えると使用量を抑えるようにするのです。これは、じつはエアコンの温度設定と理論的に同じもので、システム制御理論の応用展開の一例となります。現在は,価格の上昇と電力使用量の適正なバランスをどうモデル化するかという問題に取り組んでいます。この研究は京都大学,鳥取大学と共同で進めており,今後は社会実装に向けたシステム開発を目指していきます。

物理系(電力の供給や使用)と情報系(使用量に応じた電力価格の算出と通達)が融合したシステムは、サイバーフィジカルシステム(Cyber Physical Systems:CPS)と呼ばれています。遺伝子ネットワークの制御においても、物理系を遺伝子ネットワーク,情報系を制御問題を計算する計算機とすることで、CPSとして捉えることができます。また,ハイブリッドシステムはCPSの数理モデルとしても注目されています。さらに、エネルギー管理ではIoT(Internet of Things:モノのインターネット。さまざまな機器が通信ネットワークを通じて情報交換する仕組み)が重要となっています。IoT/CPSが当たり前になる時代では、物理系や情報系といった異質なコンポーネ ントが複雑に絡み合うシステムが対象になります。私たちは、エネルギー管理の応用展開などを通して、IoT/CPS時代の新しいシステム制御理論の構築を目指しています。

(2016/2/24)

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