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ネットジャーナル53

ゲームの局面から勝率を計算
不確定要素も考慮した戦略支援ツール

博士(工学) 山本 雅人

山本 三つめのテーマは「ゲームAIの開発」です。ゲームAIというと将棋やチェスなどが有名ですが、実はスポーツの世界でもゲームAIの技術が応用できます。その一つがカーリングです。最近人気のスポーツで「氷上のチェス」とも呼ばれています。なぜチェスなのかというと、ストーンを投げた後の配置(局面)から数手先を読みながらゲームを進めるからです。ただし、将棋やチェスは駒を置く場所(座標)が決まっていますが、カーリングは狙い通りの位置にストーンが行かないこともしばしばあります。そのため、先読みする場合の座標が確定していない(不確定要素が多い)のが大きな課題です。

 

この課題を解決するため、私たちはデジタルカーリング(※)にボードゲームの検索手法を取り入れたAI「じりつくん」を開発しました(動画2)。じりつくんでは、Expectimaxによるゲーム木探索を行う手法を取り入れています(解説3)。狙い通りの場所にストーンが投げられなかった場合の可能性を確率分布によって吸収し、そこから先の試合展開と最終的な得点の期待値を計算して「どのぐらいの得点が得られるか」を計算します。

  

さらに、Expectimaxによるゲーム木探索によって得られたストーン座標値をニューラルネットワークに入れて機械学習させ、最終的に自分のチームが何点取る確率が高いかを計算させました(図2)。

  

実際のゲームでは、起こりうる局面が何通りもある上、プレイヤーの技量やアイスコンディションの影響で自分たちの望む座標にストーンを置けないという状況が発生します。私たちが開発したツールは、「このあたりを狙えば、多少のズレがあったとしても、最終的に得点が得られ、勝てる確率が高い」という予測をもたらすものです。プレイヤーだけでなくテレビ中継での解説などにも活用できると考えられ、実用化を目指して研究を続けているところです。

※電気通信⼤学の伊藤毅志研究室が中⼼となって開発したカーリング戦略⽀援ツール

(2017/11/28)

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