HOME > 研究活動・産学官連携 > ネットジャーナル > ネットジャーナル54

ネットジャーナル54

日本の研究機関で半導体スピントロニクスの研究に従事

 

――帰国後の研究活動について教えてください。

博士(工学) 古賀 貴亮

古賀 2000年5月に帰国し、NTT物性科学基礎研究所の研究員になりました。そこでは新田淳作先生(現・東北大学工学研究科教授)のもとで半導体スピントロニクスの分野に携わりました。半導体スピントロニクスについて専門的に学んだ経験はなかったのですが、それまでやってきた熱電物性と共通するベースが(偶然)あり、研究分野間の移行は比較的スムーズにできました。また、さまざまな実験手法を学ぶこともできました。更に、海外からトップレベルの研究者が集まり、講演を聞いたり直接指導を受けることができたもの貴重な経験でした。

NTT物性科学基礎研究所で4年間研究に従事したのち、2004年に北海道大学へ移り、スピントロニクスの研究を続けています。2011年には、NTTと共同で電子スピン制御の物性定数を解明しました(解説1)。半導体量子井戸内で電子のスピンが変化することは分かっていたのですが、電子スピンの制御・操作のしやすさを表す指標となる「スピン軌道相互作用係数」の正確な数値は知られていませんでした。私たちの研究では、ゲート電圧を変化させることによって、(1)チャンネル内の電子スピンの回転を、回転方向も含めて制御できる、(2)あるゲート電圧においては、電子スピンの回転をほぼ止めることができる、という2つの結果を実証しました。電子スピンを制御する物性定数を精密に決定できたことは、新たな半導体デバイスの開発に寄与する成果として注目されています。

ページの先頭へ