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ネットジャーナル55

金属ナノ構造体における電子の振る舞いを計測し
プラズモニック化学の新分野を切り開く

写真:博士(理学)上野 貢生

情報科学研究科 生命人間情報科学専攻
先端生命機能工学講座  バイオナノフォトニクス研究室・准教授
博士(理学)  上野 貢生

プロフィール

1999年3月北海道大学理学部化学科卒業。2001年3月同大学院理学研究科博士前期課程化学専攻修了。2004年3月同大学院理学研究科博士後期課程化学専攻修了。2001年4月より日本学術振興会特別研究員DC、日本学術振興会特別研究員PDを経て、2006年4月より北海道大学電子科学研究所助手/助教。2009年より准教授。

金属ナノ構造体における光子の有効利用の研究

――バイオナノフォトニクス研究室ではどのような研究をしているのですか。

上野 当研究室では「光子の有効利用」という概念を提唱し、光を用いた計測や加工、あるいは光エネルギーを電気や化学エネルギーに変換する光化学に関する研究を推進しています。特に重要なのが金属のナノ構造というもので、局在プラズモン共鳴(金属に光が当たると金属表面の自由電子がその影響を受け集団的な振動運動<プラズマ振動>を起こす現象)によって光を捕集・濃縮することが可能な光アンテナ(金属のナノ構造体)に着目し、「プラズモニック化学」という新しい研究分野を立ち上げました。

金などの金属のナノ粒子にレーザー光を照射すると、金属ナノ粒子表面に吸着した分子からラマン散乱光が増強される現象はすでに1970年代に発見されていますが、2000年頃にナノテクノロジーの発展期があり、金属のナノ構造が人工的に作れるようになると、金のナノ粒子のサイズや形状をコントロールすることでより強いプラズモン増強場が作れるようになってきました。私たちの研究室では2004年頃からこうしたナノテクノロジー技術を使って10ナノメートル以下の加工分解能で構造体を人工的に作製し、新しいデザインの構造体やそこで発生するプラズモン増強場の分光特性、さらにはそれらの光化学反応への展開などについて研究しています。

金属ナノ構造が示す光を捕集して、ナノメートルオーダーの微小な空間に濃縮する効果は、エネルギーの低い可視・近赤外光を用いて太陽電池や人工光合成、光センサ(化学センサ)の高感度化などを実現するものとして世界中の研究機関が取り組んでいるホットなテーマです。

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