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ネットジャーナル56

最適化設計技術から生まれた次世代の光デバイス

 

――具体的な研究テーマについてお聞かせください。

博士(工学) 藤澤 剛

藤澤 材料設計の分野では、アクティブデバイス(レーザー、変調器など)の研究を行っています。光源や変調器などの光アクティブデバイスの研究開発には、材料(量子構造)の持つ光の吸収や屈折率変化の把握が極めて重要ですが、従来の理論計算方法(フェルミの黄金則)では、実験結果から求める、フィッティングパラメータを使わなくてはなりませんでした。一部の実験結果を後付けて説明するのであればこれでも良いのですが、物性の詳細な解析、さらに最も重要なゼロ次の時点での設計には十分ではありませんでした。

そこで、より定量的な設計を可能にするため、多粒子系の量子力学を使った解析法を開発しました。これによりフィッティングパラメータを使わずに、量子構造光学特性を算出することができ、最近、この技術をⅣ族系材料(シリコン、ゲルマニウムなど)の半導体量子構造にも拡張しました(解説1)。Ⅳ族系の材料を使ったアクティブデバイスは、近年注目を集めているシリコンフォトニクスにつながる技術であり、全く新しいチップが生まれる可能性も高いと期待しています。

 

――その他にはどのような研究成果がありますか。

藤澤 デバイスの分野では、最適化アルゴリズムを利用した光デバイスの開発に取り組んでいます。モード分割多重技術では、1本のファイバで、複数の異なるモードを伝送するために、異なるモードを一つに合波したり、分波するモード合分波器が必要となります。このモード合分波器を実現する光回路を考えるうえで、コアの形状によって透過率や損失の分布が変わってくるのですが、どの形状が最も効率的なのかを設計の段階で抽出するのは非常に困難です。

私たちは、波面整合(WFM)法による自動最適設計技術を開発しました(解説2)。自動最適設計技術によって導き出されたコアの形状は、通常では考えつかない奇妙な形のものがあります。人間の発想を超えた斬新なデザインを得ることで、さらにそこから新しいアイディアが生まれます。そのように、人間の手では到達することのできないものをいかにして創出するかということが、私の研究テーマのひとつでもあります。

また、ボード間またはチップ間・チップ内通信に使われる導波路の開発も進めています。こちらでは、クロソイド曲線(曲率が連続的に変化する曲線)を取り入れた超低損失小型曲げ導波路の開発と回路光学特性の評価を行いました(解説3)。90度のカーブの中に挿入するクロソイド曲線の割合に最適値が存在することを発見し、そこでは曲げ損失が通常円弧の場合に比べて10分の1になることを理論的に予測し、実証しました。

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