HOME > 研究活動・産学官連携 > ネットジャーナル > ネットジャーナル57

ネットジャーナル57

農作業や介護の作業負担を軽減することで
人材不足と雇用の創出に貢献する「軽労化」技術の開発

写真:博士(工学) 田中 孝之

情報科学研究科 システム情報科学専攻
システム創成学講座  ヒューマンセントリック工学研究室・准教授
博士(工学)  田中 孝之

プロフィール

1996年3月電気通信大学大学院博士課程前期(修士)課程修了。1996年4月電気通信大学機会制御工学科助手。2001年10月カリフォルニア大学アーバイン校工学部客員研究員。2004年4月電気通信大学知能機械工学科助教授。2004年4月北海道大学情報科学研究科助教授(現・准教授)。2007年6月スマートスーツ研究会(現・軽労化研究会)設立、会長就任。2008年10月(株)スマートサポート社設立、技術顧問就任。

「ひとにちょうどいい」システムの研究開発

――ヒューマンセントリック工学研究室ではどのような研究をしているのですか。

田中 「ヒューマンセントリック」とは「人間中心」という意味で、人間を中心にした考え方に基づいて「ひとにちょうどいい」システムを研究開発している研究室です。金子俊一教授の画像認識システムと、私が専門とするロボット情報技術を2本の柱としており、私はここ数年「スマートスーツ」(解説1)をはじめとする軽労化ツールの開発に携わっています。軽労化とは、労働の負担や疲労を軽減することで、労働による傷病リスクを下げるとともに、主体的な動きをサポートすることで、働き続けられる身体能力を支持するためのアシスト技術です。産学協同の「軽労化研究会」という組織も設立し、軽労化技術の研究開発と社会への普及に取り組んでいます。

スマートスーツは、作業姿勢の動作解析から、ロボット技術によって設計された軽労化スーツです。開発の初期段階ではセンサやモータなどのロボット技術を取り入れていたのですが、全体の重量や装着時の手間などを軽減するため、最終的には機械的な動力を用いず、弾性体(ゴム材)の張力だけで軽労化効果を発生させる仕組みを開発し、いくつかの試作を重ねた結果現在のようなデザインに至りました。2008年10月には北大発ベンチャー起業の(株)スマートサポートを設立して製造・販売を行なっており、2009年7月には特許を取得しています。平成27年度北海道科学技術奨励賞を受賞したり、各種メディアにも取り上げられるなど注目度も上昇しています。

現在のスマートスーツは、用途や労働負荷の違いによっていくつかの種類がありますが、これまでに約3000着を試験販売し、農業や漁業、介護、配送、建設などの現場で実際に使われています。商品としてはかなり完成度が高まってきたので、スマートサポート社としては本格的な普及を目指す段階に入っています。2018年4月には、ホームセンター大手のDCMホーマック株式会社(本社:札幌市)と業務提携を結び、ホーマックリアル店舗でのスマートスーツ販売やスマートスーツに関するセミナーの開催、企業への営業販売などを展開していきます。

ページの先頭へ