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新しい大学院生に贈る言葉

情報科学研究科入学式

大学院情報科学研究科に入学された学生の皆さん,ご入学おめでとうございます。研究科を代表し,心より歓迎致します。

さて,皆さんが情報科学の道を選んだ動機は何だったでしょうか? 私自身の若い頃の経験に照らして想像すると,まずは「面白い」ということでしょうか。ゲームやスマートフォンなど,楽しい情報機器があり,自然とそのハードやソフトに興味を持たれたかもしれません。

あるいは「役に立つ」ということでしょうか。私たちの生活・ビジネスの場や工業的な生産現場は,コンピュータによる情報システムによって支えられており,就職後の実践的な知識やスキルを獲得しようと思われたかもしれません。

しかし,これらは私が学生の頃,もう30年も前の頃からの情報技術に対する見方に過ぎません。ここ十年くらいで,社会は完全に「情報社会」に移行したと思います。情報社会とは,単に情報機器が大量に普及している社会というものではありません。人類の有史以来の第1番目の文明「農業社会」,第2番目の文明「工業社会」に続き,「情報社会」という言葉は,第3の文明に位置付けられるような非常に大きな意味を持つもので,人類の生存と繁栄にとって,「情報」というものが決定的な要因になっていることを表しています。

情報科学研究科入学式

たとえば,人のからだを作り出す遺伝子は,A,T,G,Cで表される文字列の情報としてモデル化されており,この情報を解析したり操作したりすることにより,今後,革命的に医療技術が進歩し,人類の生存に大きな影響を与えるかもしれません。ややSFめいた想像をすると,将来は,情報のバーチャル世界と,物理的なリアル世界が結び付き,医療がある種の「情報処理」のようになるかもしれません。

また,昨年世界の注目を集めた「アラブの春」といわれる出来事では,北アフリカなどの国々で,独裁者が追放され,民主的な政治体制が樹立されましたが,その要因をさかのぼると情報技術に突き当たります。人々がグーグルアースで自国の衛星写真を見て,壁の向こうにあって今まで見ることのできなかった国のリーダーの住居が,自分たちの貧しい住居と比べものにならない豪邸であることを知り,自分たちが独裁者に搾取されていると気づき,フェイスブックを使ってその情報を大衆に広め,議論し,行動を計画し,彼らにとっての社会正義の実現に結び付けたのです。

このように情報技術は,単に,面白い,役に立つ,ということを超えて,人類・社会のもっとも根本的な生存基盤として,生命を支え,正義を実現するツールとなっています。したがって,情報科学を学び研究する私たちは,いまこの社会にもっとも大きな影響を与えうる技術者集団であるといえます。

今回入学された203名の修士課程と42名の博士後期課程の皆さんの研究活動を,研究科教職員一同,経済的な面も含めて最大限支援しますので,ぜひ将来の人類社会を支えるリーダーとして期待される人に成長してください。

平成24年4月

情報科学研究科長 栗 原 正 仁

(本記事は,4月3日に挙行された情報科学研究科入学式での研究科長挨拶に基づき,新規に書き下ろしたものです。)

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