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新しい大学院生に贈る言葉

情報科学研究科入学式

大学院情報科学研究科に入学された修士課程182名(うち留学生11名)および博士後期課程36名(うち留学生8名,社会人8名)の学生の皆さん,ご入学おめでとうございます。研究科を代表し,心より歓迎致します。

入学式に臨むにあたって,私は自分が大学院に入学した学生のころを思い出しました。それまでは,コンピュータといえば,何千万円・何億円もするもので,大企業や計算機センターの冷房のきいた部屋に鎮座しているものでしたが,私が大学院に入学したころは,ちょうどパーソナルコンピューティングの草分けの時代でした。

マイクロソフト社を創設したビル・ゲイツや,アップル社を創設したスティーブ・ジョブズは,私と1歳違いですので,私の年代の情報技術者は,ほぼ一生をかけてパーソナルコンピューティングの道を開拓し,そのほぼ完成形がiPhoneやiPadだと言えましょう。

これでパーソナルコンピューティングの道がほぼ完成したのだとすれば,皆さん方が情報技術者として,一生をかけて開拓する道は何でしょうか?

情報科学研究科入学式

それを予測するのは困難ですが,1つの可能性として,情報技術を使った社会の変革が考えられます。つまり,私の世代が求めた「パーソナル」の正反対である「ソーシャル」を追い求めることです。情報技術を単なる便利な情報デバイスという日用品としてとらえるのではなく,社会正義を実現したり,人類の困難な課題を解決したりするためのツールとしてとらえ,情報技術を使った問題解決を提案するのです。

たとえば,最近の身近な例としては,昔から「国民総背番号制」と呼ばれて,なかなか実現できず,いままた内閣が実現しようとしている法案があります。これはコンピュータにより,国民の収入や納税の状況を一元的に把握しようとするもので,個人情報の保護など,注意すべき点はありますが,これを実現することにより,大金持ちなのに税金逃れをしたり,不正に生活保護を受けながら高級車を乗り回したりするケースを防ぐことで,社会正義を実現することができます。

また,人類の困難な課題としては,「貧困の撲滅」があります。たとえば,アフリカや中近東の諸国などでは,貧困のために餓死したり,内戦が勃発して多くの人が命を落としたりしています。これを解決するには様々な方策を複合する必要がありますが,情報技術の観点からは,たとえば,iPadにすべての教科書を入れて,これらの国や地域の子どもたちに与えたら,教科書や教員が少なくても,教育の状況が改善され,生産性の高い知的な労働者となる人が増えるのではないかと思えます。しかし,これらの地域は電力が絶対的に不足しているので,太陽電池などの再生可能エネルギー源を開発したり,超低消費電力の情報デバイスを開発したりすることが必要です。

このような大きな視点から電気電子技術を含めて情報技術をとらえ,皆さんが独創的な研究・開発を行う,人類社会を支えるリーダーとして期待される人に成長されることを願っています。

平成25年4月

情報科学研究科長 栗 原 正 仁

(本記事は,4月1日に挙行された情報科学研究科入学式での研究科長挨拶に基づき,新規に書き下ろしたものです。)

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