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新しい大学院生の皆さんへ贈る言葉

情報科学研究科入学式

新入生の皆さん,入学おめでとうございます.

この春,北海道大学大学院情報科学研究科は,修士課程216名,博士後期課程35名の合計251名を新入生として迎えました.

本研究科は,2004年4月に国立大学の法人化と同時に設立され,この4月より創立15年目を迎えます.北海道大学の中では比較的新しい大学院ですが,その起源を辿れば,1924年に北海道帝国大学に設置された工学部電気工学科が母体となっていますので,実質的には100年近くの歴史を持った,伝統のある大学院と言えるのかも知れません.

さて,新入生の皆さんは,これから大学院と言う教育課程の中で主に研究活動を通して修士あるいは博士の学位を取得すべく努力されるわけですが,その際,是非,次の3つの点を念頭において,これからの大学院生活を過ごしていただきたいと思っています.

情報科学研究科入学式

第一に,狭い専門領域に入り込むことなく広い視野を持って臨んでいただきたいということです.学部から修士課程,博士課程へと進むにしたがって,一般的には,より専門的な内容を深く学ぶことが必要になります.しかし,実社会で求められるのは,そうしたスペシャリストとしての専門の深い知識と同時に,専門とは異なる分野との融合も柔軟に行えるジェネラリストとしての幅広い知識,そして俯瞰的視野を持つ人材です.進化論の提唱者ダーウィンの言葉に,「強い者,賢い者が生き残るのではなくて,変化に対応できた者が生き残る」と言う言葉があります.様々な変化に柔軟に対応できるような能力を身につけていただきたいと思います.

そこで本研究科では“双峰型教育”というユニークな教育システムを取り入れています.これは自身が所属する専攻(これを主専修と言いますが)でその専門分野の知識や技術を深く学ぶと同時に,もう一つの専攻を副専修として自由に選択し,主専修とは異なる分野の知識も学ぶというものです.既存の学問領域に異分野の領域を融合させることによって,それぞれの領域の限界や応用分野を広げ,思いもよらない新しい価値やイノベーションが生み出される可能性があります.皆さんには積極的に他分野と融合し協調することで,それぞれの専門領域に新しい息吹をもたらしていただきたいと願っています.

第二は,産業界とのつながりを意識していただきたいということです.大学での研究は,特に工学系の場合,決して大学の中だけで完結するものではありません.その研究の成果は産業界で活用されて初めて光り輝くものなのです.学部の頃は,講義や実験で学んでいることが社会とどのように繋がっているかを具体的にイメージしづらかったため,どちらかと言えば受け身の姿勢で講義を聞いていたという人も多いのではないでしょうか.しかし,学んだことが実社会でどのように使われ,どのように役立っているのかを知れば,研究の基礎になっている理論や原理をもっと深く学ぼうという意欲が出てきますし,コストや時間など様々な制約の下で課題解決をしなければならないという工学の本当の難しさを理解できると思います.

そこで本研究科でも,企業との共同研究等を通して実践応用する機会を積極的に作り出すように工夫しています.具体的には,課題解決型の授業である「プロジェクトマネジメント関連講義」による実践的学修,連携講座による企業・研究所等との実学性を重視した協働教育などを組織的に支援する体制を整備しています.また,各研究室においても様々な企業との共同研究を実施していますので,そうした研究に参画することを通して産業界と関わることも可能です.是非,産学共同研究の実際を体験していただければと思います.

第三に,これはあえて言うまでもないことなのですが,是非とも国際的な視点で研究活動を進めていただきたいということです.どんなに優れた研究であっても,どんなに独創的な研究であっても,その成果を発表する場を日本国内だけにとどめていたのでは,その価値は半減してしまいます.世界には自分と同じような研究をしている人が大勢いるのだということを肝に銘じていただきたいと思います.従って,優れた研究,オリジナリティの高い研究であればなおのこと,国際的な場で発表し,世界中の研究者からその研究の価値を評価してもらうことが必要です.博士課程の学生さんはもちろんですが,修士課程の学生さんも在学中に1度は国際会議で発表することを目標としていただきたいと思います.そして,その機会に是非とも外国における研究の進め方を見,外国人研究者の考え方を理解し,国際的な広い視野を持つように経験をしてもらえればと思います.

以上,3つの点を申し上げました.2年間,3年間と言うのは長いようですが,あっという間に過ぎてしまいます.ぼんやりしていると何も得られなかったということになりかねません.学位授与式の時には,皆さん方一人一人が充実感,達成感に満ち溢れて学位記を受け取ることができることを心より願っています.

以上で私からのお祝いの言葉とさせていただきます.

平成30年4月

情報科学研究科長 北 裕幸

(本記事は,4月2日に挙行された情報科学研究科入学式での研究科長挨拶に基づき,新規に書き下ろしたものです。)

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