HOME > 研究科について > ヴォイス > ヴォイス1・第3回

ヴォイス1・就職企画室インタビュー第3回

どの専攻の学生にもチャンスは公平にあるように

写真:金子 俊一 教授

情報科学研究科 2011年度就職企画室室長
教授 金子 俊一

企業に対する責任、大学に求められる責任、学生に求める責任

――昔は学校推薦が発行された企業には事実上内定という時代がありましたが、現在では学校推薦の「後付け」など、学校推薦の意味合いが変わったのだろうかと思うこともあります。今の学生の親御さんは、「学校推薦=内定」という価値観の時代の方が多いでしょうから、学校推薦については気になる方が多くいると思います。

金子 確かにいろいろな要因で、企業の学校推薦の見方は変わってきているかもしれませんし、理論的に学校推薦を出した学生が内定をもらえないということはありえますが、その場合には大学側の問題でもあるんです。ある企業に推薦するときに、その企業の仕事の厳しさ、難しさに対応できる学生を学内できちんと選抜して、その結果で推薦しているのかということですよね。そういう意味では、就職企画室の学校推薦についての見方はそれほど変わっていません。

しかし現状は学内で厳選しているとは言えないですね。第2回の進路ガイダンスの資料の「学校推薦のあり方」という項目に、学校推薦が出るまでのプロセスが書かれています。去年までは第一志望の扱い方について、「内部選抜は原則として行わない」という一文があって、これが「研究科で学校推薦を出す学生を選ぶことはしない」ということを意味していたんです。でも僕は、これは世間的にはおかしいと思って、就職企画室で議論をしてからその一文を消したんです。

去年までの、学生の第一志望が全部通るような説明はおそらく、学生が浮つかないように配慮した結果なんでしょうね。でも今年の資料ではその説明を変えて、学生が学校推薦の希望を出した後に「研究科で承認する」というプロセスを入れて、進路のアンケート調査で第一志望に書いた企業が学校推薦で通らないということも起こり得る、ということを示しました。選んでもいない5人なら5人全員に学校推薦を出して全部採ってください、という約束を企業にすることはできません。こちら側はちゃんと選んで責任をもって推薦するから落とさないでくださいね、と企業の人に言うことができる。だから、世間の「学校推薦」に対する意味合いが変わってきたことについて「責任」という言葉を使うなら、大学側の責任もあるんですよ。

学生をちゃんと選ぶには、学生にそれなりのGPAを必要とする、といった何らかの基準が必要になりますよね。僕はそういう意識を高めるうえでも、学生に自分のGPAを計算しなさいよ、と言いました。成績が全てとは言わないけれども、もし二人の学生から一人を選抜するときに、研究能力や他の能力が全部一緒だったら、最終的には僕は文句なくGPA、つまり成績で選抜します。特に国立大学は講義や実験が必修制ですから、大学が示したレールに沿って良い成績をとったら、その大学がつくろうとしている人間になれるんだぞというものを用意しているはずですよ。それが大学の「カリキュラム」ですから。カリキュラムに沿って努力した学生がGPAが良くなっているはずですから、GPAの良い方の学生を企業に推薦する。そうでなかったら、北大の、大きくいうと大学の存在する意味はなくなってしまう。GPAがより高い学生が行きたいところに行けるようにするという責任を僕らも持っている。だからこそ学生には厳しいことが言える、と僕は思っています。

内部選抜を「必ず行う」とは言っていませんけど、僕の専攻の学生には「推薦はするけれども君のGPAだと危ないぞ」という指導をしましたよ。学生が自分のGPAと自分のキャリアビジョンも考えながら、「その会社に自分が行って働ける能力はあるのか?その根拠を企業の人事の人に伝えられるのか?」と考えるように指導をしたうえでの第一希望になってほしいですね。そういう意識をもった学生が第一希望に採用されていくようになれば、誰にでも学校推薦が発行される状況とは大きく意味が違ってくるはずですよ。だから僕は、実質的に学校推薦が有効になるようには活動したつもりですね。

学校推薦は、在学生と卒業生を"ハッピー"で結ぶ大切な「つながり」

金子 ただし、実際問題として内部選抜は難しいんですよ。一つの専攻の中だけだとカリキュラムが同じだけれど、専攻をまたぐとカリキュラムや評価基準が違いますから、GPAだけを使うと教養や基礎科目の成績くらいしか比べられません。就職ではやっぱり専門科目も大事ですから、専門科目も頑張った学生が評価されなければならない。そこに矛盾が出ますから内部選抜は難しいんですよ。だからこそ、ガイダンスや指導が非常に大事になってきます。内部選抜をしなくても良いような学校推薦状況になっていれば一番ハッピーでしょう?そのハッピーというのは、もちろんいま学校推薦を受けようとしている学生もそうですし、学校推薦を受けて就職していった卒業生だって就職先でハッピーにならないと、後輩たちを自分の組織に積極的にひっぱろうと思えなくなってしまう。だから就職企画室長の僕だけでなく就職企画室の先生たち全員が、どの専攻の学生たちにもハッピーになってもらうためにとても神経を使っていると思いますよ。就職企画室が、お客様、つまり企業とのお付き合いを大事に議論しているのは、卒業後の学生にもきちんとハッピーになってもらうためということもあるんです。企業とのお付き合いが1年で終わりということはほとんどありえません。来年も再来年も学生がそこへ就職していくわけですから、今年学校推薦で就職していく学生には、そこの企業でハッピーになってもらわなければならない。僕は学校推薦というものが、そのハッピーを来年も再来年も続けていくことだと思っているんです。けれども就職企画室の先生たちだけが奮闘していても学生はハッピーにはなれない、学生自身の努力も必要ですよね。進路ガイダンスでは、学生にそういうふうに考えた方が良いということも話しましたよ。

ページの先頭へ