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ヴォイス3・産学連携体「軽労化研究会」の取組み
田中孝之准教授インタビュー

情報ロボット技術によるスマートスーツの設計

─スマートスーツ商品化の経緯についてお聞かせください。

写真:組み合わせ爆発

試作機を農業や酪農、介護、物流などさまざまな労働環境で実際に装着してもらいフィールド試験を行ったのですが、「経済性」「耐久性」「メンテナンス」などの部分で課題が多いことが分かってきました。スマートスーツにはセンサ、アクチュエータ、コントローラなどのロボット技術が使われていますが、じつはそれこそがユーザの利便性を害しているかもしれないと考えたのです。ではどうするか? 検討の末、ロボットの部分を取り外すという結論に達しました。大きな決断でしたが、スマートスーツのセンサとモータを取り外し、ゴム素材の弾性だけでアシストする仕組みに改良。これが「スマートスーツライト」(写真3)です。弾性材はゴムとテグスを織り合わせた特注の素材を用い、滑車の原理を利用してゴムの長さを変えることで引っ張る力を調整します。体幹を引き締める効果もあり、コルセットのように腰を安定させることができます。

ロボット研究に携わる者としては、結果的にロボット技術が使われない製品に仕上がったことに複雑な思いもありますが、技術というものは人々の役に立たなければ意味がありません。技術面での道筋はある程度見えたと判断したので、研究会のメンバーらによって設立した北大発ベンチャー企業の(株)スマートサポートに製造・販売を任せ、私たちは次のステージへ進むことにしました。

次のステージとは情報ロボット技術を使ったスマートスーツの設計です。軽労化が必要とされる分野は幅広く、農作業以外にも漁業や酪農、介護、建設、消防救急、物流センターや倉庫での荷物の積み卸しなど、さまざまな作業があります。しかも、作業の内容によって体の動かし方が少しずつ異なり、スマートスーツの効果が現れにくいものもあるのです。そこで、当研究室の得意分野である画像認識や3次元動作計測、モデリング技術などを活用し、それぞれの動作に適したスマートスーツの設計を開始。2009〜2010年度にはNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法)の福祉用具実用化開発推進事業に採択され、介護用スマートスーツの臨床試験を行いました。さらに特別養護老人ホームなどでの長期臨床試験の行い、(株)スマートサポートでの試験販売も実施しています。

写真:組み合わせ爆発
写真3:スマートスーツ・ライト

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