メディアネットワークコース 博士後期課程2年 清野 竜生さん

Q1 博士後期課程への進学を決めたきっかけ・動機は何でしょうか。
 自分の研究テーマに修士課程の期間だけでは十分に向き合いきれないと感じたためです。私は、人工知能や機械学習を用いて、人の技能や現場の暗黙知をどのように捉え、次世代に継承していくかというテーマに関心を持って研究を進めています。研究を進める中で、単にモデルの性能を高めるだけでなく、人が持つ知識や技術を社会で役立つ形にすることに面白さを感じるようになりました。また、自分で問いを立て、実装・検証し、論文として発信する経験を重ねる中で、研究力を高めたいという思いが強くなり、進学を決めました。

Q2 博士後期課程に進んでよかったことは何でしょうか。
 自分の研究を「与えられた課題」ではなく、「自分で価値を定義して進める課題」として考えられるようになったことです。修士課程までは、研究テーマを進めること自体に精一杯でしたが、博士後期課程では、なぜその研究を行う必要があるのか、既存研究と比べて何が新しいのか、社会にどのような価値を提示できるのかをより強く意識するようになりました。また、研究だけでなく、実装、論文執筆、学会発表、共同研究など、幅広い経験を積める点も大きいです。特に情報系では、研究で培った考え方や技術が実社会の課題に直結する場面も多くあります。博士後期課程へ進学したことで、研究者としての専門性だけでなく、技術を社会にどう活かすかを考える視点も身についてきたと感じています。

Q3 就職や経済的な面で不安はありましたか?
 就職面、経済面ともに不安はありました。特に、周囲の多くが就職して社会人経験を積んでいく中で、この選択でよいのかを考えることはありました。また、研究に集中しながら生活を成り立たせる必要があるため、経済的な不安も全くなかったわけではありません。一方で、現在は日本学術振興会の特別研究員に採用され、研究に集中できる環境を得られています。また、博士後期課程で身につく専門性や研究遂行力は、将来のキャリアにも十分活かせると感じています。特に情報系では、課題を定義する力、新しい技術を理解して実装する力、成果を論理的に説明する力は、研究職に限らず幅広い仕事につながると思います。そのため、不安はありつつも、博士後期課程での経験は将来の選択肢を狭めるものではなく、むしろ広げるものだと感じています。

Q4 後輩にメッセージをお願いします。
 博士後期課程への進学を考えるとき、研究を続けたい気持ちだけでなく、就職や経済面、将来の生活など、現実的な不安も出てくると思います。私自身もそうでしたし、その不安を無理に消す必要はないと思います。大切なのは、不安がある中でも、自分が何に時間を使いたいのか、どのような力を身につけたいのかを具体的に考えることだと思います。博士後期課程は、単に学生生活を延長する期間ではなく、自分で問いを立て、価値を生み出し、それを社会に伝える力を鍛える期間だと思います。研究が好きな人、新しい技術を深く理解したい人、自分の専門性を武器に将来の選択肢を広げたい人にとっては、とても充実した時間になるはずです。一方で、進学を決める前には、経済支援制度や研究室の環境、修了後のキャリアについて早めに情報収集することも重要です。周囲と同じタイミングで就職しないことに不安を感じるかもしれませんが、博士課程でしか得られない経験も確かにあります。ぜひ、自分が納得できるまで悩み、最終的には自分の選択を前向きにできる道を選んでほしいと思います。

令和8年7月