生体情報工学コース 博士後期課程2年 大和 尚記さん

Q1 博士後期課程への進学を決めたきっかけ・動機はなんでしょうか。

 進学を決めたきっかけは,修士課程で自分の興味にマッチした研究に巡り会えたことです。私の研究は,患者への負担を少なくできる手術の実現に向けた新しい眼を開発することで,実現すれば手術様式を大きく変える可能性を持っています。実験室で実現することと臨床で実現することには大きな乖離がありますが,この乖離を埋めるべく研究を行っています。自分が興味を持てる研究に出会えたからこそ,壁が大きく難しい課題であっても,日々コツコツと取り組み続けることができます。そして,この研究分野で博士号を取得することで自分のさらなるステップアップを実現し,企業またはアカデミックで自立できる人材になりたいと考えるようになりました。研究室選びの際には自分の興味のある分野やテーマについて調べ,興味を持てる研究につけるように早めに行動することをお勧めします。

Q2 博士後期課程に進んでよかったことは何でしょうか。

 やはり,自分の興味ある研究に集中できる時間・環境がそろっている点です。博士後期課程では必要な講義の単位も多くなく研究へ専念できるような仕組みになっています。自分で研究費を申請し,採択されることで自分の研究予算を使いながら,研究を進めることもできます。国内・国際学会へ登壇する機会もさらに増え,最先端の研究者と議論し,共同研究や新しいアイデアのきっかけなどにも繋がります。また,研究に関する事柄すべてを自分自身で管理する経験を積めることは,今後自立して研究を行う上で,非常に貴重な経験となると感じています。

Q3 就職や経済的な面で不安はありましたか?

 経済的な面の不安はありました。これは,Teaching fellowや非常勤講師などで学費・生活費を賄うことが難しいためです。しかしながら,学外では一般財団法人テレコム先端技術支援センターの研究奨励金,学内では授業料免除(1/4~全額)やResearch Assistant (RA)制度を利用することで経済的支援を受けることができ,負担が大幅に軽減できました。特に,RAでは,授業料免除で免除されなかった授業料分を補う形で採用されるため,大変助かりました。また,日本学生支援機構奨学金では業績の程度により返還免除が適用されるため,研究に専念し業績を積むことで経済的な負担の軽減にも繋がります(自分の場合は半額免除が適用されました)。
 就職の面ではほとんど不安はありませんでした。自分は光学と機械学習を融合した研究テーマに取り組んでいます。今後は,1つの分野に限らずいくつかの分野を包括的にこなせる人材が求められるまたはスタンダードになると思っていて,博士課程の研究を通し専門的スキルを磨くことで次の職場には困らないと思っています。また,将来は研究職に就きたいと考えており,博士号を持っていることはメリットになるため就職に関する不安はあまり感じませんでした。

Q4 後輩にメッセージをお願いします。

 現在の研究,あるいはこれから始める研究に対し興味を持っている学生には,進学することをお勧めします。博士課程を通して得られる、研究の進め方や建設的な思考力のスキルアップ,専門的な知識と実行力はアカデミックの世界だけでなく,社会に出て必ず役立つものだと考えています。最先端の技術に触れながら研究できる良い機会・環境であり、研究生活は大学生活の醍醐味であると感じています。少しでも進学に興味があれば,身近にいる博士号を取得した先輩・教授や進学・就職支援室の先生と話をして,さまざまな情報をもとに検討してみてください。

令和3年10月