生体情報工学コース 博士後期課程1年 角井 建さん

Q1 博士後期課程への進学を決めたきっかけ・動機は何でしょうか。
 進学を決めたのは自身の研究を納得できる所まで進めたいと考えたからです。私は日本の小型哺乳類を研究対象とした系統地理学的解析をテーマに研究に取り組んでいますが、近年の技術の発展に伴って解析手法の幅は広がり続けています。やりたいことはいくらでも挙げられますが、修士課程までの時間でできることは余りにも限られています。自身の研究分野への理解が甘いまま終わらせてしまうには忍びなく、博士後期課程への進学を決定しました。何かをやり残したと感じている人や、新しいことを初めてみたい人は一つの転換点として進学を検討してみてもいいと思います。

Q2 博士後期課程に進んでよかったことは何でしょうか。
 修士課程までは何となく進学して来る学生も多いかもしれませんが、博士後期課程となるとほとんどの学生は何らかの意志のもと選択した進路であるでしょう。それだけに自身の研究に対しては責任を感じることになります。博士後期課程は卒業に必要な単位数も少なく、研究に集中できる環境が整っていますが、自身の選択であるという意識はそれ以上に研究へのモチベーションを高めてくれます。自分の研究への姿勢が変わるきっかけにもなったと思っています。

Q3 就職や経済的な面で不安はありましたか?
 博士後期課程の後の進路について具体的な計画を決めていたわけではないので、就職に関する不安はありました。職種によってはこの経歴が足枷になるようなことがあるかはわかりませんが、研究方面へ進む可能性が少しでもあるのなら博士後期課程に進むことには十分意義があります。
 私は日本学術振興会(学振)に特別研究員として採択され研究費と研究奨励費を受け取っています。その他にも大学は公的機関・民間団体による補助金・助成金制度を紹介しています。学内では授業料の減免制度などに加えて最近はDX博士人材フェローシップ制度も加わり、支援体制も充実してきています。積極的な情報収集をお薦めします。

Q4 後輩にメッセージをお願いします。
 これまでの研究生活が理想通りとはいかなかった方もいると思いますが、研究室にはそれぞれの特色や方針というものがあります。自分に向いていないと断じる前に一度検討してみてはどうでしょうか。博士課程から新しい事を始めるのが遅すぎるということはありません。
 研究活動で培われるものは専門分野の知識・見識だけではありません。論理的・批判的な思考力、研究の計画を立て、内容を他者に伝える能力は将来どんな道に進んでも役に立つものです。この経験が無駄になることはないと思っています。

令和4年8月