情報理工学コース 博士後期課程1年 篠原 舞乃さん

Q1 博士後期課程への進学を決めたきっかけ・動機は何でしょうか。
 初めのきっかけとしては、修士1年のときに書いた論文が国際会議に採択され、これまでの苦労が良い形で報われた経験が大きかったと思います。同時に、国際会議で学外の研究者と議論を交わした際、自身の専門分野に対する理解の甘さを痛感しました。そこでようやく入口に立てたにもかかわらず、すぐに研究を終わらせてしまうのは惜しいと考え、納得がいくまで磨きをかけるべく、博士後期課程への進学を決めました。

Q2 博士後期課程に進んでよかったことは何でしょうか。
 研究分野の専門性を高めていく過程の中で、「なぜこの研究を今自分がやる価値があるのか」というような哲学の部分が自ずと育っていると思います。ただ新しいから、面白いからではなく、世の中に何を提示できるか意識して取り組むようになり、研究へのモチベーションも上がります。私自身、これまで良くも悪くもこだわりのない人間だったため、研究活動を通して自分の価値観を持つことができつつあると感じています。

Q3 就職や経済的な面で不安はありましたか?
 どちらに関しても正直不安はありました。特に経済的な面での不安は大きく、それを理由に博士後期課程への進学を断念しようと考えた時期もありました。ただ、EXEX博士人材フェローシップという大学独自の制度を通して経済支援をして頂けることになり、そのおかげで今は日常生活に不自由さを感じることなく、研究に集中できています。このような博士後期課程学生を対象とした経済支援は多くあるので、進学にあたって十分に情報収集をして頂くことをおすすめします。
 また、就職に関しても未だに模索中で不安はあります。ただ、個人的には修士の時よりもキャリアの自由度が広がったと感じています。修士課程の時は、周りと足並みを揃えて研究や就職活動など進める意識がありましたが、一方で博士後期課程は現時点ではマイノリティであり、すなわち「出る杭」となることに舵を切るともいえます。そこでの経験は社会に出てからも代替しづらい人材として役に立てると思います。

Q4 後輩にメッセージをお願いします。
 若いうちの貴重な時間を学生のまま過ごして大丈夫だろうか、と悩む方もいるかもしれません。確かに早くから社会で実務経験を積むことで得られることも多くあると思いますが、大学で腰を据えて自分の研究に向き合い続ける時間もまた、とても貴重で恵まれたものであると感じています。また、博士後期課程は企業や他大学の研究者と議論を交わしたり共同で研究を進めたりする場合も多く、そこで培われたコミュニケーション能力は将来どのような道を選んだとしても役立つはずです。就職と進学、どちらが良いか正解はないので、大いに悩んで、今後の人生に後悔のない選択をしてください!

令和7年8月