メディアネットワークコース 博士後期課程2年 中村 航大さん

Q1 博士後期課程への進学を決めたきっかけ・動機は何でしょうか。
 宇宙飛行士になりたいという夢が最初のきっかけです。以前は、宇宙飛行士の応募資格の一つに、自然科学系分野における3年以上の実務経験というものがありました(現在は、分野に限らず3年の実務経験となっています)。博士号取得者は3年の実務経験とみなされるので、博士号さえ取ってしまえばその後、どこに就職しても応募資格を満たせます。そのため、入学時から漠然とですが博士後期課程への進学を考えていました。
 実際に研究を始めてみると、自分の考えを形にして発表するということが面白くなり、博士後期課程に進学しました。

博士後期課程に進んでよかったことは何でしょうか。
 学生の身分でありながら、研究内容の評価によって報酬を得る、という体験が出来ていることには非常に価値を感じています。アルバイトのように時間の対価としてではなく、自分の創生するものへの対価として、目に見える評価を貰えることはとても嬉しいです。また、他人に価値を認めてもらうという過程で、研究課題と解決方策をまとめたストーリーの構成、平易な文章で分かりやすく書くなど、自己主張の仕方を学べたことは今後の人生においても無駄にならないと思っています。

Q3 就職や経済的な面で不安はありましたか?
 経済面での不安は大いにありました。奨学金とリサーチアシスタントなどで、学費・生活費はまかなえますが、それほど余裕はないです。幸いにも、一年次はアンビシャス博士人材フェローシップ、二年次以降は特別研究員に採用されたので、十分な収入は確保することができましたが、今でも経済的な不安は少なからずあります。
 就職に関してはそこまでの不安はありませんでした。それほど深く考えていなかったということもありますが、研究職を志望しているので博士であることがマイナス要素になるとは思っていません。博士後期課程でしっかりと実績を残していれば、どのような職業に就くとしても、自分の価値をアピールできると思っています。

Q4 後輩にメッセージをお願いします。
 質問にもありましたが、進学する際の大きな不安は経済面と修了後の就職についてだと思います。私も課程中なので就職に関しては何も言えませんが、経済的な部分に関してはそれほど心配しなくてよいと思います。一般に奨学金と呼ばれている、日本学生支援機構の奨学金のほかにも様々な奨学金があります。北大学内だけでも、アンビシャス博士人材フェローシップやDX博士人材フェローシップなどの奨学金があります。もちろん無条件に全員に支給されるわけではないので、しっかりと準備して、指導教官に相談しながら研究を進めていけば受給できる可能性はあがると思います。いずれにせよ、少なからず進学の意思があるのなら指導教官へ相談するのが良いと思います。各種奨学金や特別研究員などに採用されるには、優れた研究実績や魅力的な研究テーマを有していることをアピールする必要があるので、指導教官への相談は早ければ早いほど良いです。迷っているならすぐ相談しに行きましょう。

令和4年8月