システム情報科学コース 博士後期課程1年 喜田 勇志 さん

Q1 博士後期課程への進学を決めたきっかけ・動機はなんでしょうか。

 私は就職後も学部在籍時から修士課程まで行っていた研究テーマのような内容を研究していきたいと思っており,いずれは博士号を取得したいと考えていました。そこで考えられる選択肢は2つでした。博士後期課程に進学し博士号を取得し就職する道と,修士課程卒業後に研究職に就職し働きながら博士号を取得する道です。 経済的な不安もあり後者の道に進もうと考えていましたが,修士1年夏に応募したある企業のインターンシップに落ちたことをきっかけに,自らの望む分野に確実に進むには一般的な就職活動は向いていないのではないかと考えました。もちろん自分の力不足が要因ですが,履歴書や面接等で自らの研究分野や業績を伝えることは難しく,学会等で人とのつながりを作ることがより確実な道なのではないかと考えるようになり,前者の道を考えるようになりました。

Q2 博士後期課程に進んでよかったことは何でしょうか。

 それは間違いなく自由に研究できる環境があることです。企業に就職すると自分の興味だけではテーマを選べず,利益を求められることも多いと思います。一方で,私は自らの興味に従って設定した研究テーマを,先生方の協力を得ながら進めています。この恵まれた環境をいただいていることが何より進学してよかったと思うことです。

 前述したように経済的な不安はありました。その不安を払拭することになったのは,PEP卓越大学院プログラム(https://www.waseda.jp/pep/)への進入です。これにより月12万円のRA費を受給できることになりました。このプログラムの対象は限られており運がよかったとしか言えませんが,このほかにも博士学生を支援する制度はたくさんあります。思いつくものを挙げておきます。

  • アンビシャス博士人材フェローシップ制度 (今年度より本学で開始)
  • 日本学術振興会特別研究員
  • 民間奨学金(多数募集あり)※情報科学院在学生限定確認可

就職においては,より専門的な人材になることを考えれば道が狭くなると言われることは当然だと思っています。一方,その分野においてはより有利に働くのではと考えており不安は感じていません。

Q4 後輩にメッセージをお願いします。

 博士課程進学により就職先が狭くなることはありうることだと思っているので,誰しもが進学すべきだとは思っていません。しかし,将来もその分野での研究を進めていきたいと考えているなら進学を候補に入れる価値はあると思います。
  経済的な問題は待っているだけでは解決しませんが,主体的に探して行動することで解決することができるかもしれません。申請書類を書き応募することは将来研究者として重要になってくる「お金を取ってくる」ことの訓練にもなると思います。 自らの研究分野に興味がある人は周りに流されず検討してみてはいかがでしょうか。

令和3年10月