近年,光デバイスの複雑化・微小化にともなって3次元解析を行わなくてはならない状況が格段に増えてきています.そこで本研究室では,有限要素法に基づく高性能光導波路・共振器解析ソフトウェアの開発を行っています.また,高性能化を目的とし,解析領域端からのスプリアス反射抑圧のための完全整合層,計算効率改善のためのアダプティブメッシュの生成技術など,様々な数値計算技術を導入しています.
導波路不連続問題のための3次元ベクトル有限要素法
一様ではない導波路形状を含む光導波路型デバイスや光導波回路などを解析・設計する場合には,導波路不連続解析を行う必要があります.導波路不連続解析のための有限要素法は,従来,入射解をモード展開法に基づく解析的関係式により算出する方法が一般的でありましたが,十分な精度を得るためには計算コストを要するといった問題がりました.その後,導波路不連続領域に接続される一様導波路を完全整合層に置き換えることにより,モード展開を不要とした有限要素法が開発されたものの,2次元解析に留まっていました.そこで本研究室では,導波路の高さ方向も考慮した構造を取り扱える,導波路不連続問題のための3次元ベクトル有限要素法を開発しています.
共振器問題のための3次元ベクトル有限要素法
フォトニック結晶光共振器やプラズモニック共振器のような光ナノ共振器は,低消費電力光スイッチ,微小レーザ,高感度バイオセンサなどを実現する上でのキーデバイスです.本研究室では,共振器問題のための3次元ベクトル有限要素法を開発しています.
周期構造解析のための3次元ベクトル有限要素法
結合共振器導波路やグレーティング導波路のような周期構造を用いると,光を遅くするといったことや,伝搬モード変換を行うことができるため,光デバイスを実現するためには欠かせない構造です.本研究室では,周期構造のための3次元ベクトル有限要素用を開発しています.
微細構造光ファイバ設計のためのフルベクトル有限要素法
フォトニック結晶ファイバのような微細構造光ファイバは,広帯域にわたる単一モード動作,分散制御性,低曲げ損失などといった優れた性質を有しています.このような微細構造光ファイバは,構造が複雑であることが多いため,要素を細かく分割する必要があります.本研究では,円形状への適用性に優れた曲辺エッジノーダルハイブリッド要素に基づく固有モード解析ソルバを開発しています.
その他の有限要素法ソルバ
- 曲げり導波路解析のための円筒座標系に基づく2次元ベクトル有限要素法
- 有限要素法を用いた時間領域ビーム伝搬法
- 有限要素法を用いたビーム伝搬法
- 有限要素法を用いた虚軸ビーム伝搬法
- 応力解析のための有限要素法
- 非線形光波解析のための有限要素法