コア(幹線)系,メトロ(都市間)系,アクセス(加入者)系と,ネットワークの光化が進み,さらにはコンピュータのボード内やチップ内にも光が入りつつあります.そこで,こうした光化に対応するための超小型光回路をフォトニック結晶やシリコン細線で構成する研究を行っています.
スロット導波路
スロット導波路では,高屈折率媒質に挟まれたサブ波長スケールの低屈折率層に光が強く閉じ込められます.こうした特異な性質を活用し,非線形光学効果の増強やバイオセンサへの応用研究が盛んに行われています.本研究室では,高密度集積化を目的とし,スロット導波路の曲げや交差構造の検討を行っています.
位相変調のための光論理ゲート
光論理ゲートは,光ルータを実現するための必要不可欠な光デバイスです.ところで最近では,受信感度を改善し,伝送容量を拡大するために位相変調方式の採用が望まれています.しかしながら,光の強度が論理値に対応している従来型の光論理ゲートでは,位相変調された信号をそのまま演算処理することができないという問題が生じます.そこで本研究室では,BPSK信号のための,入射光の位相を論理値に対応させた光論理ゲートの提案を行っています.
偏波制御デバイス
シリコン細線導波路のような高屈折率差導波路では,強い偏波依存性が存在します.この偏波依存性を制御するために,偏波スプリッタと偏波変換器で構成された偏波ダイバーシティシステムが提案されています.本研究室では,高効率かつ小型な偏波スプリッタおよび偏波変換器の検討を行っています.
結合共振器導波路
結合共振器導波路は,スローライト効果により極めて遅い群速度を実現し,バンドの中心において群速度分散を低減できることから,非線形光学効果増強への応用が期待されています.本研究室では,モードギャップ閉じ込めに基づく1次元フォトニック結晶結合共振器導波路を用いることにより,さらなる非線形特性の向上目指しています.
プラズモニック導波路
表面プラズモンポラリトン(SPP)導波路は,回折限界を超えて光を狭い領域に閉じ込めることができるため,チップ内配線などへの応用が期待されています.本研究室では,SPP導波路の基本特性を解明するとともに,超微小光デバイスへの応用検討を行っています.
LNOI光導波路
ニオブ酸リチウム(LiNbO3,LN)は,優れた電気光学定数,音響光学定数および非線形光学定数を有しており,光変調器などの光通信用デバイスの材料として使用されています.最近,LNの製造技術の進展により,高い屈折率差を有したLNOIに基づく光導波路を作製することが可能となりました.本研究室では,LNOIに基づく光導波路の基本特性を明らかにするとともに,LNの特殊な性質を生かした偏光子の提案を行っています.