近年、無線デバイスの増加によりモバイルデータトラフィックが爆発的に増加しており、フロントホールやバックホールにおいても大容量化が求められています。
その解決策として、軌道角運動量(OAM)を用いた空間多重伝送(OAMモード多重)が注目を集めています。
OAMは電磁波の伝搬形態の一つで、これまで一般に用いられてきた平面波と異なり、波面が螺旋状に形成されます。
電磁波の一波長内での整数値の位相回転量をモードと定義したとき、異なるモードの螺旋波は互いに直交すること利用して、理論上は無限の直交モードを生成することができます。
具体的なOAM多重の手法の一つとして、等間隔円形アレー(UCA)を用いたものがあります。
送受信側にUCAを設置した際に、設置誤差がある場合、急激に特性が劣化してしまいます。
当研究室では、設置誤差がある場合でも特性劣化を防ぐため、信号処理の観点から研究を行っています。
OAMの螺旋波
[文献]
櫻谷信彦, 西村寿彦, 大鐘武雄, 旦代智哉, 内田大輔, “OAM多重伝送におけるアレーの設置誤差による特性劣化の改善,” 信学技報, vol. 120, no. 74, RCS2020-33, pp. 61-66, 2020年6月.