CGHの原理

計算機合成ホログラムは、ホログラフィにおける記録の過程をコンピュータ上でシミュレーションすることで作成されます。 具体的には、物体からの光(物体光)と参照光、そしてそれらの干渉縞の計算を行う必要があります。


計算機合成ホログラムの利点





計算機合成ホログラムは、ホログラムの記録工程をコンピュータ上で行うため以下のような様々な利点があります。


●光学系の設計などの作業が不要

通常の記録工程では、物体や光源、記録材料、ハーフミラーなどの位置や光の入射角度を手作業で設置するため、細かい計測などに手間や時間がかかるという欠点があります。


●作業における危険の回避

通常のホログラムにおける記録材料には様々な薬品が使われており、その中には危険な薬品が含まれる場合もあります。


●記録材料の入手が容易

通常のホログラムは、使用する薬品に、現在では使用自体が禁止されている薬品もあるため、高分解能な記録材料を実際に入手することができないといった問題もあります。 計算機合成ホログラムでは、高解像度の液晶に表示したり、OHPフィルムのようなものに印刷することが可能なので、比較的容易にホログラムを作ることができます。


このように、計算機合成ホログラムでは、その記録工程をコンピュータ上で行うため、実際に光学器具を用意・設置する手間やコストの解消、作業における危険の回避が可能となるため注目されています。
もちろん、通常のホログラフィ技術と同様に、物体光を完全に再現することが可能であり、人間の視機能をすべて満足させる理想的な3次元表示が可能です。


計算機合成ホログラム作成の流れ





計算機合成ホログラムの作成は、
 1. 物体データの入力
 2. 物体光、参照光の伝搬計算
 3. 干渉縞データのファイル出力
といった流れになります。

まず最初に、作成したい物体のデータをコンピュータに入力します。この入力データは平面物体であったり、点の集合の座標データであったりします。
次に、伝搬させたい距離を設定し、その位置に記録平面があると仮定して、物体の光波伝搬を計算します。
最後に、記録平面で得られた複素振幅分布の強度をファイルに出力したデータがCGHとなります。
詳しい計算方法は、CGHの計算法に掲載しています。