北海道大学大学院 情報科学研究科 メディアネットワーク専攻 メディア創生学研究室

研究内容

半開示スクランブル法

・スクランブル法

スクランブル法とは、画像や動画などのデジタルコンテンツを暗号化し内容を秘匿する技術です。スクランブル法は主に有料映像配信サービスなどに利用されています。 スクランブル処理を施したコンテンツを元のコンテンツに復元するためには、鍵データが必要になります。

有料映像配信サービスでは映像を不特定多数の人々へ一括で配信するため、元の映像をそのまま配信してしまうと料金の徴収ができません。そこで配信する動画に対してスクランブル処理を施すことで、課金者にのみ元の映像を視聴させる限定配信を実現することができます。 課金者は配信者に料金を支払うことでスクランブルを解除する鍵を受け取り、復元が可能となります。

しかし、スクランブル処理を施した動画は内容が一切確認できなくなってしまうため、ユーザーに向けて内容を宣伝するためのサンプルを別途用意する必要があります。サンプルの作成には時間や費用といったコストがかかってしまいます。


・半開示スクランブル法

半開示スクランブル法では、コンテンツの概要が認識できる程度に抑えて劣化処理を施します。そのため、得られた半開示スクランブルコンテンツをサンプルとして利用することができ、別途サンプルを用意するコストを省くことが出来ます。 また、配布するコンテンツは半開示スクランブル法によって劣化されているので商品価値は存在しません。そのため、配布した半開示スクランブルコンテンツの複製や再配布による著作権の侵害は考慮する必要がありません。


(例)元動画と半開示スクランブル動画


「半開示動画スクランブリングを用いたDRM技法に関する研究」のさらに詳しい説明はこちら PDF

電子透かし法

・電子透かし法

電子透かし法とは、ID番号や著作権情報、ロゴマークといった透かし情報をデジタルコンテンツに埋め込み、配布や複製されてからの情報抽出、利権主張を可能とする技術です。 人間の視覚特性などを利用することで、見た目の品質を損なわずに付加情報を埋め込み、取り出し可能な形にします。

電子透かし法は画素空間利用型と周波数空間利用型、可視型と不可視型、原版参照方式と原版非参照方式、可逆型と非可逆型などに分類することができます。

・電子透かし法の分類

「画素空間利用型と周波数空間利用型」

透かしデータを埋め込む際に、直接画素値を変更するか、DCT(Discrete Cosine Transform)やDWT(Discrete Wavelet Transform)を使って周波数領域に変更し、その係数を変更するかによって区別されます。

「可視型と不可視型」

電子透かしが見えるかどうかで分類され、可視型はお札の透かしのように透かしデータを埋め込んだ画像や動画にマークが表示されます。

「原版参照方式と原版非参照方式」

埋め込んだ透かしデータを取り出す際に、電子透かしを埋め込む前のオリジナルの動画像が必要となるかどうかによって区別されます。原版参照方式ではオリジナルの動画像がなければ取り出すことが出来ません。

「可逆型と非可逆型」

電子透かしを埋め込んで取り出した際に、オリジナルデータに戻すことができるかどうかで区別されます。